愛知・東郷町の井俣憲治町長による“パワハラ”問題。不信任決議案の審議の傍聴を求め、多くの町民が集まる中、決議案は否決された。
ひとまず町長を続けることにはなったものの、地元住民からは怒りの声が相次いでいる。

32席の傍聴席求め61人が抽選

11月27日午前10時前、議場に姿を見せた井俣憲治町長。町の職員にハラスメント行為を繰り返していたことをめぐる、不信任決議案の審議が行われた。

東郷町議会臨時会
東郷町議会臨時会
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愛知・東郷町 井俣憲治町長:
私の不信任決議案につきまして、よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げ、開会のご挨拶とさせていただきます。

病気の手術を控えた職員に対する無神経な発言
病気の手術を控えた職員に対する無神経な発言

井俣町長は「お前、死んだら香典いくらぐらい?」「お前、保険入っとるんか?それでうちの臨職(臨時職員)雇おうや」など、病気の手術を控えた職員に対する無神経な発言や、バカ呼ばわりするといったパワハラに加え、女性職員にセクハラとみられる言動をしていたとされている。

抽選に外れた人たちは別室で審議を見守った
抽選に外れた人たちは別室で審議を見守った

町長のハラスメント審議は多くの関心を集め、32席の傍聴席に対して集まったのは約2倍の61人。抽選に外れた人たちは別室で見守った。

討論紛糾…4分の3の賛成得られず否決

可決されれば、失職か議会解散となる不信任決議案。審議では、賛成する議員と「町長派」と呼ばれる反対議員の討論が繰り広げられた。

「町民の負託に応えるのが我々の仕事。あなたはそれが分かっていない」と非難
「町民の負託に応えるのが我々の仕事。あなたはそれが分かっていない」と非難

愛知・東郷町 山下茂議員(不信任案に賛成):
町民の負託に応える、それが我々の仕事ですよ!あなたはそれが分かっていない。

厳しい非難の声にも、井俣町長は目立った反応を示さない。

加藤議員は「被害者がいるのかすらも分からない」と続け、「何を言ってるんだ」とヤジが飛んだ
加藤議員は「被害者がいるのかすらも分からない」と続け、「何を言ってるんだ」とヤジが飛んだ

愛知・東郷町 加藤伸尚議員(不信任案に反対):
この不信任決議の審議には反対します。今じゃない。被害者がいるのかすらも分からない。

「何を言ってるんだ」とのヤジも飛び討論が紛糾する中、町長は神妙な面持ちで、それぞれの主張に耳を傾けていた。

賛成10人・反対6人だったが、可決に必要な4分の3得られず
賛成10人・反対6人だったが、可決に必要な4分の3得られず

そして、午後1時半ごろ。賛成10人・反対6人と、賛成が4人上回ったものの、可決に必要な4分の3を得られず、不信任決議案は否決された。

進退については「第三者委員会の結論を待ち、自ら判断する」と述べた
進退については「第三者委員会の結論を待ち、自ら判断する」と述べた

愛知・東郷町 井俣憲治町長:
反対された議員の先生方も、賛成された先生方も、言わんとするところは同じだろうと思っているところであります。

今後の進退を問う質問に、井俣町長は「第三者委員会の結論を待って、自ら判断をするということで間違いはございません」と答えた。

傍聴した地元住民からは怒りの声
傍聴した地元住民からは怒りの声

不信任案否決を受け、傍聴した地元住民からは「一言で言うと残念な結果」「否決されたが、事実だったら責任を取る必要がある」と怒りの声が聞かれた。

年内をめどに、全職員を対象としたアンケートを実施する方針を示している井俣町長。今後に向けた情勢は依然、不透明となっている。
(「イット!」11月27日放送より)