アフリカ最大の花とされ、国内で開花の事例がなかった「アリストロキア ゴルデアナ」が11月16日、京都府立植物園で開花した。

同植物園によると、「アリストロキア ゴルデアナ」は国内でこれまで栽培されておらず、日本国内で開花した事例はないという。今回が国内初となる。

「アリストロキア ゴルデアナ」のつぼみ(提供:京都府立植物園)
「アリストロキア ゴルデアナ」のつぼみ(提供:京都府立植物園)
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「アリストロキア ゴルデアナ」の花は“人の顔ほどの大きさ”になり、アフリカ最大の花として知られている。また、花粉の媒介者であるハエをおびき寄せるため、開花中に腐肉臭を放つことから、自生地では「死体花」と呼ばれているという。

京都府立植物園では2015年10月に栽培を始め、昨年初めて、つぼみをつけたが途中で折れてしまい、咲かなかった。

今年は10月初めにつぼみをつけ、その後、徐々に大きくなり、11月16日に花を咲かせたという。花の見頃は2~3 日と短く、同植物園によると、11月19日に花の開口部が完全に閉じたとのことだ。

開花した「アリストロキア ゴルデアナ」(提供:京都府立植物園)
開花した「アリストロキア ゴルデアナ」(提供:京都府立植物園)

ラッパ型で赤紫色ぽい模様が特徴的な「アリストロキア ゴルデアナ」。開花に栽培開始から8年かかったわけだが、その理由は何なのか? 京都府立植物園の担当者に聞いた。

担当者「栽培事例がなくおそるおそる栽培」

――「アリストロキア ゴルデアナ」は、どのような植物?

ナイジェリアなどの熱帯雨林地帯に自生する植物で、高い木々の中をよじ登るように成長します。高さは5センチ以上になります。花の直径は約30センチ、長さは約40センチのサクソフォン型で、紫~赤色の模様が入ります。

日本の植物園などでの栽培記録がないため、生態は不明でしたが、数年にわたる観察経過から7月頃に萌芽し、冬の間に成長し、春に休眠することが判明しました。


――国内で、この植物を栽培している植物園は他にある?

ありません。


――栽培しようと思った理由は?

アフリカ最大の花で、日本での開花例がないためです。


――栽培している「アリストロキア ゴルデアナ」は、今回咲いた1株のみなの?

数株、栽培していて、咲いたのはこの1株のみです。

開花した「アリストロキア ゴルデアナ」(提供:京都府立植物園)
開花した「アリストロキア ゴルデアナ」(提供:京都府立植物園)

――花を咲かせるのは難しい?

難しいかどうかは分かりませんが、株をある程度の大きさにする必要があります。


――栽培開始から花を咲かせるまでに8年かかった理由は?

栽培事例がなく、おそるおそる栽培していたからです。

「アリストロキア ゴルデアナ」のつぼみ(提供:京都府立植物園)
「アリストロキア ゴルデアナ」のつぼみ(提供:京都府立植物園)

――特に苦労したことを教えて。

つる性の植物であるため、油断すると、他の植物などにつるが巻き付くので、それを傷つけないように外すことです。また、温室内には他の植物が密生しているので、育ち負けないように肥料などを、成長具合を見て与えていました。


――8年がかりの苦労が報われ、花が咲いたとき、どんなことを感じた?

去年も、つぼみがついていたのですが、開花直前で落ちたため、すごくがっかりしました。今年は無事に開花したので感無量です。

「真っ茶色でペシャンコになっています」

――花の開口部が閉じた「アリストロキア ゴルデアナ」は、いつ頃まで見ることができる?

徐々に黒く変色してきて、11月26日時点だと、真っ茶色でペシャンコになっています。見ることができるのは、あと2~3日だと思います。


――ではこれからの時期、京都府立植物園で楽しめる珍しい花や植物は?

まずは、「アリストロキア ゴルデアナ」と同じ仲間の「アリストロキア サルバドレンシス」です。映画「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーのようなお花です。現在、開花中で、ほぼ一年中、見ることができます。

アリストロキア サルバドレンシス(提供:京都府立植物園)
アリストロキア サルバドレンシス(提供:京都府立植物園)

そして、“死体花”とも呼ばれ、数年に1度、2日間しか咲かない花として有名となった「ショクダイオオコンニャク」は、分割した標本を展示中です。こちらの展示は12月27日までです。

さらに12月1日~25日までは「ポインセチア展」を開催しています。

ショクダイオオコンニャクの分割した標本(提供:京都府立植物園)
ショクダイオオコンニャクの分割した標本(提供:京都府立植物園)

アフリカ最大の花として知られ、京都府立植物園が国内で初めて開花に成功した「アリストロキア ゴルデアナ」。8年かかった理由は「栽培事例がなく、おそるおそる栽培していたから」だった。

今年の開花はもう見ることができないが、来年もまた花を咲かせてほしい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。