体力が必要で時間もかかる“草刈り”作業を、人間に代わって“ヤギ”がやってくれる。そんなユニークな新ビジネスを島根・松江市のカフェ経営者が立ち上げた。癒やしとヤギ愛があふれる草刈りの現場を「JALふるさと応援隊」の斎藤莉華子さんが取材した。
まさに一石二鳥のヤギの“草刈り”
島根・出雲市にある仕出し店の駐車場。生い茂る雑草を一心に食(は)んでいるのは、かわいい“ヤギ”だ。店のスタッフは、「癒やしになりながらも、草がなくなるのですごくいいな」と話してくれた。
この記事の画像(12枚)JALふるさと応援隊・斎藤莉華子さん:
なぜここにヤギがいるんですか?
取材に訪れたJALふるさと応援隊の斎藤莉華子さんの疑問に、松江市でカフェを経営する「Lago」の大西祥生社長が教えてくれた。
Lago・大西祥生社長:
ヤギは今、草刈りをしてくれている。これに「癒やしの草刈りサービス」という名前をつけている
「癒やしの草刈りサービス」は、大西社長が約2年前に始めた新事業だ。「庭の草刈りにヤギが伺います」と銘打って、家庭や事業所にヤギを“派遣”し、生えている草を食べさせて、草を刈ってしまうのだ。
ヤギにとっては大好物の草を食べることができ、人間にとっては面倒な「草刈り」の手間が省ける。まさにヤギと人間、両方がうれしい一石二鳥の取り組みだ。
今回、ヤギが派遣された仕出し店のスタッフも、「最初はみんな冗談かと思っていて、でも、来てみたらかわいくて、毎日癒やしになっている」と話し、喜んでいる。
もぐもぐと草を刈ってくれるかわいらしいヤギの姿は、またたく間に話題となり、この「癒やしの草刈りサービス」には、すでに病院や福祉施設などから依頼が入っているそうだ。
ちなみに、ヤギが1日に食べる草の量は約20kg。1週間で約30平方メートルの草を食べつくす計算だ。ヤギの“派遣料”は1頭1日4,000円、この店では3週間にわたって、ヤギの「シンジくん」に斜面の草を食べてもらっている。
JALふるさと応援隊・斎藤莉華子さん:
機械や除草剤を使わないので、安全でエコな除草が実現できますね
Lago・大西祥生社長:
今注目されているSDGsの観点からも、すごくサスティナブルでいいサービスだと思っています
「ヤギ」をもっと身近に ビジネス参入のワケ
ユニークなヤギビジネスを手がけるようになった大西社長。一方で、どのようなカフェを開いているのか、斎藤さんが訪ねてみた。
JALふるさと応援隊・斎藤莉華子さん:
「特濃やぎミルク」、おいしそうですね。たくさんのジェラートが並んでいます
ヤギと本格ジェラート Lago・店員:
「やぎミルク」を使った10種類のジェラートをご用意いたしました
カフェは約2年前にオープン。ヤギのミルクを使ったジェラートを楽しむことができる。中でも人気は「特濃やぎミルク」。「高たんぱく・低脂質」のヤギのミルクを66%使用している。
「あまおう」とのタブルでジェラートを注文した斎藤さん、「クセがなくて、すっきりした甘さで、とてもおいしいです」と、すっかり「やぎミルク」がお気に入りになったようだ。
ジェラートを楽しんだあとは、ヤギとのふれあい。約10頭のヤギが出迎えてくれた。この店ではヤギと触れ合うこともできるという。
Lago・大西祥生社長:
もっとヤギのすばらしさが広まって、それが社会貢献につながっていくと、より面白いかなと。「癒やし」の提供がひとつの価値
「ヤギの草刈り」ビジネス参入の背景には、大西社長の「ヤギをもっと身近に感じてほしい」という思いがあった。人に癒やしを与えながら、環境にも優しい「ヤギの草刈り」サービス。SDGsを意識した新しいビジネスが広がる、ひとつのヒントになるかもしれない。
(TSKさんいん中央テレビ)