トマトの価格が高い。ふだんの2倍以上で販売している店もある。農林水産省によるとキロ当たりの価格は、統計データが残る2011年以降で最高となった。記録的な高値の原因は、長引いた猛暑だ。いつになったら平年並みの価格に戻るのだろうか。
平年比2倍の高値 店も客も驚き
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1年を通して手に入れることができ、様々な料理に使われるトマト。しかし2023年は平年に比べて高騰が目立ち、11月になっても高値が続いている。全国的に9月頃から値上がりが目立ち始め、静岡市内のスーパーでは大玉が1個199円と平年の2倍以上になっていた(2023年11月上旬)。
![静岡市内のスーパー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/8/700mw/img_d85d0b3a7a52a83b6c6a9349deb153ee1611798.jpg)
スーパーアンドウの安藤秀剛社長は「(平年より)2~2.5倍高めになっている。近年記憶にないような高い値段になっている感じ」と驚く。
トマトの高騰が続く状況に、消費者も「普通よりも100円くらい高い気がする。手軽に食べられるミニトマトをよく買うが、高いなと思ったけど食べないわけにもいかないので」「カフェをやっていてサンドイッチにどうしても使うので、安い店を探して回ります」と、困惑の様子だ。
過去最高の高値 個数を減らす工夫も
![2023年9月以降トマトの価格が急騰(右端の黄色部分)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/700mw/img_434e45389e230045c2bd27324ec85b50796512.jpg)
農林水産省はトマト、キャベツ、タマネギなど8品目の野菜の価格を、各都道府県10店舗ずつ全国470店舗で毎週 調査している。この食品価格動向調査(野菜)によると、トマトの価格は10月23日の週にキロ当たり1441円・平年比159%まで上がった。農水省によると、統計データが確認できる2011年以降で最も高値だという。調査対象の8品目の中でもトマトの価格が最も高い。
トマトは例年8月に急騰した後 秋に下落する傾向があるが、2023年は11月まで上昇傾向が続いた。11月6日の週は1221円・平年138%だ。
![数を減らして価格抑制の工夫も](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/9/700mw/img_e9bbfd519a7ad0efa444a6a508a3433e1445036.jpg)
静岡市内のスーパーでは、ふだんは1つの棚いっぱいにトマトが並べられているが、2023年は仕入れられる種類も少ないことから、棚の半分ほどしかない。また、例年は3個以上の大玉トマトを袋詰めにして販売しているが、それだと価格が高くなってしまうので、数を減らして買い求めやすくしている。
早く平年の値段に戻ることを、店も消費者も願っている。
猛暑で花が落ち、実がなっても割れて
![小松さんのトマトハウス](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/a/700mw/img_9a231b0e2b755f8dcd1adf2780c690a31692312.jpg)
なぜトマトの価格が高騰したのか。静岡市のトマト農家を訪ねると、皮が割れてしまっているトマトを見かけた。カルシウム不足だそうだ。
トマトのハウス栽培をしているこの農園では本来だと11月から収穫のピークを迎えるそうだが、ハウスの中には、あまりトマトはない。平年の半分程度だそうだ。
![実が割れてしまったトマト](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/700mw/img_84e5b63c1e05da1e71c952935a4d4b851081768.jpg)
トマト農家・小松修三さん:
花が落ちてしまうので実がならない。(実がなっても)割れが多いので廃棄が多い
![小松さんのトマトハウス](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/700mw/img_dd04cbcfa54bd78998bd058a1749c40e1023939.jpg)
トマトの栽培に適した気温は23~28℃といわれているが、2023年の夏は猛暑が続き、暑さに耐えられず花が落ちて実にならないケースが多くあったそうだ。実がなっても、割れがあったり大きくならなかったりするトマトが増えているという。
11月後半には平年並みか
高騰が続いたトマトも11月に入り下落傾向が見えてきた。
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前述の農水省の調査によると、トマトの価格は10月23日の週をピークに、10月30日の週が前週比98%、11月6日の週が前週比86%と2週連続で前週を下回った。それでも11月6日の週の価格は平年比138%と、平年と比べるとまだ高い。
「価格は下落したが、平年に比べるとまだ高い」傾向は、調査対象8品目のうち、トマトの他にネギ、レタス、ニンジン、ダイコンにも共通する。
農水省は11月の野菜の価格見通しについて、「気温の低下や、夏場の産地から秋冬の産地への切り替わり等に伴い、出荷量が徐々に回復し、11月後半には価格も平年並みに戻る品目が多い見込み」としている。
![静岡市内のスーパー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/700mw/img_c69fa46745097ed0d67e5c2820d716c71479025.jpg)
特にトマトについては、「北海道・福島県産の出荷が減少し、熊本県・千葉県・愛知県産の出荷に切り替わる。8月から9月にかけての高温等の影響で、千葉県産は小玉傾向、愛知県産は出荷量が平年を下回る見込みだが、熊本県産の生育が順調だ。全体としては11月前半の出荷量は平年を下回り価格は平年を上回る見込だが、11月後半には出荷量・価格とも平年並みになる見込み」と予測する。
生でも焼いても煮てもおいしく、食卓に欠かせないトマト。人気の野菜の価格が11月中には平年並みに戻ることを期待したい。
(テレビ静岡)