「大会は、○○にて、開催されます」

場所や、方法などを表す場合に使われる「にて」。

告知で、よく見たり聞いたりします。文章で見ると、特に違和感はありません。

しかし、テレビでは、基本的に、話し言葉が使われるので、耳で聞くと、「あれ?」と思う言葉があります。私にとって、その一つが「にて」です。

会話では、「大会は、○○で、開催されます」ですよね。

「詳しくは、番組ホームページにて、ご覧ください」。

「詳しくは、番組ホームページでご覧ください」で、意味は通じるのに、なぜ「にて」?

なぜ「にて」? 調べてみると…
なぜ「にて」? 調べてみると…
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「にて」を調べてみると…。

手元にあるいくつかの辞書を引いてみたところ、
文語の格助詞。口語での「で」にあたる。(広辞苑)
格助詞「で」の文語形(新明解)
など…。文章で使われる言葉と説明しています。

「番組にて、使用をお願いしようと…」

なぜ、話し言葉が使われるテレビ番組の告知などで、文語的表現が、しばしば出てくるのか?

先日、会社で、以下のように声をかけられました。

「番組にて、使用をお願いしようと…」

え~、会話で使う?? しばし、考えてしまいました。

普段から、耳にする機会が多いから使うんでしょうが…。

ひょっとして、丁寧な言葉遣いか。文語調の方が丁寧に聞こえるということなのでしょう。

最近は、お店などでの、敬語や丁寧語の多用が目立ちますが、「にて」を「で」の丁寧語として使っている人が多いのなら、告知などで使用される理由もわかります。

「○○にて開催」を、古い言い方だな、と感じていた私の方が、遅れていたのかも。私は、「で」の方が、すっきりしていて、聞きやすいと思うのですが、そのうち、普段の会話でも、使われることが増えてくるのかもしれません。

それでは、読んでくださった人に、ちょっと丁寧に、「また、FNNプライムオンラインにて、お会いしましょう」
【執筆:フジテレビ 解説委員 田村浩子】

田村 浩子
田村 浩子

フジテレビ報道局解説委員 社会部・司法担当キャップ、デスク。ウィークエンド編集長などを経て現職。