食品、外食、エネルギー、サービスと、今月も、毎日のように様々な商品の値上げのニュースが続いています。

こうした、値上げを伝えるニュースの中で、最近、気になった表現が…。

「人気のお菓子○○が、値上げです」
「△△製菓は、○○を来月出荷分から50円値上げし、250円にすると発表しました」
「○○は、半年前にも、20円値上がっています」

例えば、このニュース。私が気になるのは、最後の「値上がっています」です。

「値上がり」は名詞で、動詞として使う場合は、「値上がりする」、もしくは「値が上がる」でしょう。すると、最後は「値上がりしています」のはず。

帝国データバンクによると8月の食品値上げは1102品目にのぼる
帝国データバンクによると8月の食品値上げは1102品目にのぼる
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実は、この表現、記事で頻発しているわけではありませんが、日常会話では、耳にすることが増えてきたように思います。ファストフードの値上がりに関連する街頭インタビューでは…、
「そこまで値上がると、買うのを控えようかと」。
スーパーマーケットでは…、
「また、値上がってますね」。

皆さんも、「値上がらなければいいんだけど」なんて言っていませんか?

「値上がりする」という言葉が、頻繁に使われるようになったことから、言葉が短縮化されたのでしょうか?「値下がった」は、余り聞きませんね。

ちなみに、このほかにも、「する」をつけずに、名詞を動詞化する例を見かけたことがあります。
ある雑誌の見出しで、「空回る政権」。
これは「空回りする政権」でしょう。短く表現したいために、こうなったのでしょうか?

「値上がる」は、辞書にはない言葉なのか?手元にある数冊を引いたところ、ありました。三省堂国語辞典の、「ねあがり」の項目に(動)として、「値上がる」が。

良く聞くなと思ったら、もうすでに、辞書に載るぐらい広がっている使い方なんですね。

でも…、まだ、やっぱり違和感あるんです。「値上がる」は。

【執筆:フジテレビ 解説委員 田村浩子】

田村 浩子
田村 浩子

フジテレビ報道局解説委員 社会部・司法担当キャップ、デスク。ウィークエンド編集長などを経て現職。