食品、外食、エネルギー、サービスと、今月も、毎日のように様々な商品の値上げのニュースが続いています。
こうした、値上げを伝えるニュースの中で、最近、気になった表現が…。
「人気のお菓子○○が、値上げです」
「△△製菓は、○○を来月出荷分から50円値上げし、250円にすると発表しました」
「○○は、半年前にも、20円値上がっています」
例えば、このニュース。私が気になるのは、最後の「値上がっています」です。
「値上がり」は名詞で、動詞として使う場合は、「値上がりする」、もしくは「値が上がる」でしょう。すると、最後は「値上がりしています」のはず。

実は、この表現、記事で頻発しているわけではありませんが、日常会話では、耳にすることが増えてきたように思います。ファストフードの値上がりに関連する街頭インタビューでは…、
「そこまで値上がると、買うのを控えようかと」。
スーパーマーケットでは…、
「また、値上がってますね」。
皆さんも、「値上がらなければいいんだけど」なんて言っていませんか?
「値上がりする」という言葉が、頻繁に使われるようになったことから、言葉が短縮化されたのでしょうか?「値下がった」は、余り聞きませんね。
ちなみに、このほかにも、「する」をつけずに、名詞を動詞化する例を見かけたことがあります。
ある雑誌の見出しで、「空回る政権」。
これは「空回りする政権」でしょう。短く表現したいために、こうなったのでしょうか?
「値上がる」は、辞書にはない言葉なのか?手元にある数冊を引いたところ、ありました。三省堂国語辞典の、「ねあがり」の項目に(動)として、「値上がる」が。
良く聞くなと思ったら、もうすでに、辞書に載るぐらい広がっている使い方なんですね。
でも…、まだ、やっぱり違和感あるんです。「値上がる」は。
【執筆:フジテレビ 解説委員 田村浩子】