「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもや、「内密出産」で産まれた子どもたちの「出自を知る権利」をどう保障するかを考える検討会の4回目の会議が開かれた。
この検討会は熊本市と慈恵病院が共同で作ったもので、弁護士の委員は、匿名で預けられた子どものアイデンティティー形成のため「母親の身元が特定されない情報については充実すべきだ」と訴えた。
「内密出産の権利」と「出自を知る権利」
第4回の検討会には学識経験者や弁護士など15人の委員が参加し、このうちの6人がそれぞれ意見を述べた。

この中で弁護士の石黒大貴委員は新生児の遺棄事件について「無責任な母親の事件」として見られる傾向があるが、「母になることを受け入れられない女性もいることを、理解することが必要」と指摘。
「母にならない選択肢である“内密出産の権利”を認めることは、生命を守るという観点から重要」としたうえで「子の“出自を知る権利”を考えるべき」と述べた。
そして、母親の情報については自身の考えを次のように示した。

弁護士石黒大貴委員:
母親の氏名や生年月日、住所など母が「特定できる個人情報」についてはできる限り保護すべきであり、母の容姿や当時の年齢や事情、その心情、内密出産に至った背景などの「非特定情報」については子のアイデンティティー情報として充実させるとそういう方針をとるべきではないか。
養子縁組では「生みの親に会ってみたい」
このほか特別養子縁組のあっせんに取り組む社会福祉士の大場亜衣委員は、養子縁組をした人や家族などから「生みの親に会ってみたい」や「養子になった理由を知りたい」などといった相談に応じていることを報告した。

検討会では、2024年12月をめどに報告書としてまとめる方針だ。
(テレビ熊本)