季節は秋。肌寒くなってきた今、食べたくなるのがラーメン。
今や国民食とも言われ、街中いたるところにラーメン店を見かけるが、中には想像よりも“ナナメ上”に進化してしまったお店も存在する。
「本格的なマジック体験ができるラーメン店」「店主と握手できるラーメン店」「スーパージャンピング湯切りラーメン店」など、“ナナメ上”な「ラーメン店」を取材した。
こだわりラーメン5選
まずはこだわりの絶品ラーメン店から。
人口10万人あたりの店舗数が、全国トップの山形県。
どれぐらいラーメン好きなのかというと、例えば赤湯温泉で有名な南陽市では、市の職員と市民からなる「ラーメン課」というものがあり、市内のおいしいラーメン店をまとめた小冊子などを作成しているという。

「ラーメンは山形県人にとってなくてはならない!もうなくては生きていけません!」と熱く語るのは、南陽市長の白岩孝夫さん。

「南陽市の人口3万人弱、実数は60店舗。外食と言えばラーメンですし、お客さんとか親戚がきたらラーメンをとってもてなすというのがごく当たり前の風景です」と語る白岩市長。
そんな南陽市で行列の絶えない人気店というのが「麺屋 葵」。

濃厚なゴマの風味と、うどん粉を配合した麺のもちもち食感が味わえる“担担麺”が大人気だという。
ラーメンのフルコース
今年4月、品川区にオープンした住所非公開、完全予約制のラーメン店「純麦」。

そのこだわりは、“ラーメンのフルコース”。
店主の矢嶋純さんは「1時間の中で一緒に来ていただいた方とお話ししながら、ゆっくり食べていただく、そういったお店をめざしてやっています」と話す。
「純麦御膳」と呼ばれるコースの中身は、契約農家から仕入れた旬の野菜や刺身などの前菜、そして牛肉がのったご飯。

メインはもちろんラーメン。
豚や鶏の動物系のダシと乾物系の和だしを合わせたダブルスープに3日かけて仕込んだチャーシューが絶品。これに、デザートがついて4356円だ。

「安い値段ではないと思うんですけど、女性1人でもやれるかたちみたいな、同じような仲間が増えて盛り上げていけたらいいなと思います」(店主 矢嶋純さん)
営業は不定期で週3日、インターネットでの前日予約のみ受け付けている。
上質空間のラーメン店
京都市中京区にある、一見ラーメン店とは思えない佇まいの「すがり」。

名古屋コーチンをベースに、魚介で仕上げたスープ。
そこに「もつ」が入った「もつらーめん」が定番メニューの「すがり」のこだわりは、上質な空間で過ごすひとときだ。

京都の町家をリノベーションしたという店内に一歩入ると、そこに広がるのはスタイリッシュな内装。

さらに“見た目のこだわり”はこんなところにもある。

箸や調味料はテーブルの引き出しに収納。
開けた時の美しさにまでこだわっているという。
カップのラーメン
大阪の商業施設「グランフロント大阪」にあるカフェ&ラーメン「じんめん」には、オシャレなカフェらしくマグカップに入ったラーメンがある。

横から見ると、ドリンクのようなルックスだが、上から見ると…チャーシューが乗った正真正銘のしょうゆラーメン。
ラーメンで乾杯、なんてこともできてしまう新感覚のラーメンになっている。
注文後に麺打ち!打ち立てすぎるラーメン
ラーメン店の麺は“手打ち”にこだわる所が多いが、東京・八丁堀にある喜多方ラーメン「麺や 七彩」のこだわりは“打ちたての麺”だ。

代表取締役の藤井吉彦さんは「打ちたての一番の特徴は、甘味とか香りというのが直接的に感じられるんです」と話す。
“打ちたて”というだけあり、麺を打つのは何と注文が入ってから。
小麦と水を合わせて生地をこね、リズム良く切って麺にしていき、注文から約6分で完成。

打ち立て麺の味の方は「おいしい!コシがあってもちもちで甘さを感じます」と調査員。

こだわりがつまったラーメンが続々登場する一方、ここからは、サービスがちょっとナナメ上なラーメン店を紹介していく。
本格的なマジック体験ができるラーメン店
青森県つがる市にある「中華そば文四郎」は豚骨を丸2日炊き上げたダシと粉末の煮干しを合わせた特製スープに、全粒粉の中太麺を合わせた「濃厚煮干しそば」が人気のお店。

そんな「中華そば文四郎」で体験できるサービスというのがマジック。
マジックのサービスとは何なのか。
やってきたお客さんが券売機で購入した食券を店員に渡すと「マジックショー入りました!」との声と同時に拍手がおこる。

実は店主の山﨑さん、あのMr.マリック公認でお店でマジックを披露しているのだという。
大のマジック好きだという山﨑さんは、学生時代にマジックの実演販売のアルバイトをしていた時に、Mr.マリックに声をかけられ、マジックショーをお手伝い。
それからマジックのとりこになったという。

マジック歴は約50年。
マリックさんとは現在も親交があるといい、セミプロマジシャンとしての名刺にはしっかり「Mr.」の文字があった。
お店でマジックを見たい時は、券売機で「Mr.マリック直伝超魔術」を500円で購入すると、メニュー表の中から選んだものが先に紙に書いてある、「予言マジック」など約10分間、マジックを目の前で披露してくれるという。

ちなみに一番の得意技はスプーンを使ったマジック。
スプーンをペットボトルの上に乗せ、エアコンの風で動かないようクリアケースで遮断。

「手を触れずに動いたら驚いてください」と言い、パワーを送ると何とスプーンが回転する。

これにはお客さんから拍手と驚きの声が上がった。
ラーメンとマジックが味わえるラーメン店、ぜひみなさんも行ってみては。
続いては、遊び心たっぷりなサービスがあるラーメン店。
店主と握手!?できるラーメン店
埼玉県狭山市にある「上気元いただき」。
上質な上州地鶏のスープをベースに仕上げた、濃厚な鶏白湯ラーメンがいただける店だ。

そんな「上気元いただき」の店主・岸岡勇さんは「外食はエンターテインメントだと思うんですよね。非日常を味わえる空間にしたいなと」と、そのこだわりを話す。
確かに、店内を見てみると遊び心を感じる、店主手作りの装飾品がいっぱいある。
例えば、オークションサイトで競り落としたというバスの降車ボタンをポチッと押すと、天井からクマのぬいぐるみが音楽と共に降りてきた。

ラーメンとは全く関係ないが、お客さんは楽しそう。
さらに、券売機を見ていると「握手券」という文字が。
まさか、有名なアイドルが店員でいるのか。
調査員はとりあえず握手券を購入してみると「JKN握手券」と書かれている。

誰と握手するのだろう?と思っているとそこに現れたのは店主の岸岡さん。
「握手券ありがとうございます!」と岸岡勇さん。

そう、この握手券は店主と握手ができ、記念撮影までついて10円。
これは…安いのか?高いのか?
ちなみにJKNは、店名「上気元(JOKIGEN)」のアルファベットのつづりからとったものだという。
岸岡さんは「お金がなかったので、どうやったらできるかなと思った時に、ひらめいたんです。これまで2000人以上と握手しています」と話す。
そんな岸岡さん、最も嬉しいのは「ラーメンがいっぱい出てくれたらうれしいですけど…握手券出てくれた方がうれしいかなぁ」と語った。
みなさんも「狭山のラーメン店で店主と握手」してみては。
続いては、自称「麺ターテイナー」の店主が繰り出す豪快なパフォーマンス。
スーパージャンピング湯切りラーメン店
千葉県木更津市にある「西山家」。
学生や家族連れなど、地元で愛されるこってりスープが特徴の家系ラーメンの店だ。

メニューは、個性的なものが多く、納豆とネギがたっぷりのった「納豆ラーメン」や、焼きのり・きざみのり・粉のりを麺が見えなくなるほど乗せた「海苔の極みラーメン」などがある。
ただ「麺ターテイナー」たるゆえんは、これらのメニューではなく、体重120キロの西山店長による「スーパージャンピング湯切り」なのだという。

十分に距離をとり、ダッシュしながら麺を空中へ。

そして見事にキャッチ。

これぞ、「麺ターテイナー」の匠の技だ。
店長の西山さんは「お客さんを喜ばせるためにやっている。みんな喜ぶんですよ。自分がなんかかっこよく見えるんですよね」と話すが、内心では「めちゃくちゃドキドキしますよ。失敗できないので自分の方がハラハラ、ドキドキです」と話した。

リクエストがあるのは、週に5回ほどで、来る度にお願いする常連さんもいるんだとか。
「麺ターテイナー」の匠の技を体験してみたい方はお店に足を運んでみるのはいかが。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年10月31日放送)