Jリーグが開幕を春から夏にずらす秋春制への移行を前向きに検討していくと表明したことを受け、アルビレックス新潟の中野幸夫社長は移行について、改めて反対の立場を示した。中野社長は「感情論ではなく、現実論としてできない」と強調した。

Jリーグはシーズン移行を前向きに検討

「アルビレックスは、シーズン移行反対ですというところを表明しております」

10月21日の会見でクラブの立場を示したアルビレックス新潟の中野幸夫社長。

アルビレックス新潟 中野幸夫 社長
アルビレックス新潟 中野幸夫 社長
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Jリーグのシーズン移行とは、スケジュールを現在の2月開幕から8月開幕にずらすもので、気温が高い時期の試合の減少やアジアチャンピオンズリーグ・欧州リーグとの日程のズレの解消がメリットとして挙げられる。

一方で、経営面や降雪地域への影響など、課題についての議論が続く中、10月18日の実行委員会でJリーグは「秋春制へのシーズン移行を前向きに検討していく」と表明した。

日本のサッカーのさらなる発展を目的としているが…アルビの中野社長は「日本の気候風土、あるいは、私どもの地域を考えたときにシーズン移行が果たして、その目標を達成するために正しいのかどうか」と改めて反対の立場を示した。

中野社長が反対の理由に挙げているのは3点。

反対理由①スタジアム確保の問題

1点目はスタジアム確保の問題だ。

新潟市中央区のデンカビッグスワンスタジアムをホームとするアルビ。ビッグスワンは、アルビの試合だけでなく、陸上やラグビーのほか、高校サッカーなどでも使用される。

デンカビッグスワンスタジアム
デンカビッグスワンスタジアム

また、隣には野球場のハードオフエコスタジアムがあり、ここではBCリーグや高校野球などが開かれていて、ビッグスワンの利用はエコスタの使用状況との兼ね合いもある。

ハードオフエコスタジアム
ハードオフエコスタジアム

現状は1月に年間のスケジュールを調整しているが、秋春制に移行した場合、5月に順位が決まるため、年間スケジュールに影響が出る恐れがあるのだ。

「5月に順位が出て、それから決めろと言われても物理的に無理な話。試合の日を決められないという状況が地域の方々に対して、ここを有効活用する、その弊害になる可能性があることを一番危惧している。過去そういう議論があったが、かなり難しいテーマ」

反対理由②降雪問題

2点目は降雪の問題だ。

12月の中旬から2月の上旬まではウインターブレイクがあるものの、スタジアムや練習会場での雪への対応は避けられない。

スタジアムの雪かきにサポーターも協力
スタジアムの雪かきにサポーターも協力

また、近年では新潟市でも記録的な豪雪に見舞われるケースが増えている。この場合、家から出ることも困難な状況となり、チームだけでなく、試合会場に向かう、また、試合会場を訪れるサポーターにも影響が出ることが懸念される。

「雪が降らない地域の方にとっては中々理解していただくのは難しい案件だが、ただ、そういう地域にいるクラブとしてはできる・できないというところをはっきりさせて頂きたいということは申し上げている」

反対理由③暑い時期の試合を回避できない

そして3点目は、秋春制に移行しても夏の暑い時期の試合を回避できないという点だ。

秋春制では、5月にシーズンが終わると、6月・7月がオフとなるが、8月の開幕に向けて、6月の半ば以降から暑い試合のピークに合わせて練習をするため、選手たちの負荷が変わらないという。

現在の流れで、暑い日の試合数を減らすなどの対応を取った方が、選手の負荷が軽くなると提唱する。「選手だけでなく、お客様の暑さ対策も当然我々は考える必要がある。国際カレンダーの変化に対して、日程を取る方がむしろ日本サッカー的にも有利なのではないか」

また、選手の卒業・入学・チーム帯同の時期を考えても、シーズン移行が本当に理にかなっているのか疑問・違和感を感じていると話した。

中野社長は強調する。「感情論で言っているのではない。できる、できないという現実論で申し上げている」

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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