「出雲そば」といえば、島根・出雲地方の特産品の一つとして知られているが、実はこの花からも「蜂蜜」を採取できる。ソバ農家と養蜂家が「WIN-WIN」の関係になれるという新名物、「出雲そばの蜂蜜」誕生の背景を取材した。

ソバとミツバチ「WIN-WIN」の産物

「ここがソバの畑になります。白い花が咲いているんですが、ここで良い蜂蜜が採れます」とうれしそうに教えてくれたのは、広島市の養蜂家・花房良さん。島根・出雲市で、ソバの花から採取した蜂蜜の商品化に取り組んでいる。

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知人が管理するこの畑で、7年ほど前から、ミツバチを使ってソバの授粉作業を手伝ってきた。2023年10月からは蜂蜜の採取も始め、毎週土日になると、この畑を訪れている。

ミツバチを使ってソバの授粉作業を手伝っている
ミツバチを使ってソバの授粉作業を手伝っている

花房さんによると、昆虫が少なくなる9月、10月に受粉期を迎えるソバにとって、ミツバチは大事な役割を担っているという。

一方、冬に向かうこの時期に花をつけるソバのおかげで、ミツバチは健全な状態で春を迎えられるそうだ。

農家にとっては、ミツバチのおかげで授粉が進み、収穫量の増加が期待できる。養蜂家にとっても、花が少ない時期に咲くソバは貴重な蜜の源。

農家と養蜂家の双方にメリットがあり、「WIN-WIN」の関係になれるのが「ソバの花の蜂蜜」だ。

どろっと濃厚!ソバの蜂蜜を特産品に

花房養蜂園・花房良さん:
記録だな!これは。これやばい。これ写真撮っといて!

9月から仕掛けているという巣箱を開けた花房さんが声を上げた。

中では、蜂蜜の元になる「蜜ろう」が巣箱に収まらないほどに大きくなり、蜜がぎっしり詰まっていた。ミツバチを飼い始めて10年という花房さんも経験がないという大きさ。思わず写真に収めた。

採れたてのソバの蜂蜜を、畑を管理するソバ農家・猿木秀樹さんが試食した。

ソバ農家・猿木秀樹さん:
おいしい~!!うまいっす!ソバの花の匂いがしますね

蜜ろうをかき混ぜて絞りだすと、どろっとした濃厚な蜂蜜。ソバに含まれる鉄分の影響で、一般的な蜂蜜に比べ、やや黒っぽいのが特徴だ。

花房養蜂園・花房良さん:
白い花からこんな黒い蜂蜜が採れるのを、まず最初は出雲や島根県の人に知ってもらえるよう頑張っていきたい

ソバの花から採れた蜂蜜「出雲の舞」は、今のところインターネットでの限定販売だが、花房さんは今後、取扱店舗を探し、実店舗でも販売したいと考えている。

麺だけではなく、蜂蜜も楽しんでほしい。ソバの蜂蜜を「出雲そば」に並ぶ島根の特産品に育てたいと花房さんは意気込んでいる。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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