季節が寒くなるにつれて、日没時間が早くなる。この時期に気をつけなければならないのが、交通事故だ。日が沈む夕暮れの時間帯は、死亡事故が多く発生しているという。運転手も歩行者も交通事故に遭わないためには、それぞれ対策が必要となる。

ドライバーにとって特に危険な季節

ついさっきまで明るかったのに気がつくと周りが真っ暗になっていた…この時期、そんな経験はないだろうか?刻一刻と明るさが変わる夕暮れの時間帯は、特にドライバーにとって危険だらけだ。道行く人に夕暮れ時の安全運転について聞いてみた。

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男性:
歳をとってきたからね、ちょっと目もだんだん老化してくるから、そのへんではちょっと注意しながらは走ってるんだけどね。あまりスピードを出さないとかね

女子大学生:
帰り道とか原付で帰るんですけど、原付に乗っている時がけっこう怖いですね。見えないところからおばあさん出てきたりとかするので、いつもよりゆっくりめに走ったりはします。ほんとに、どこから出てくるのか分からないので

さらに、運転のプロであるタクシードライバーでさえ、夕暮れ時は危険を感じるという。

タクシー運転手:
左右を見てもやっぱり死角はできるから、自転車がパッと通るときがある。今まで、1、2回あったね。ライトの点灯はちょっと早めにしてますね

6月~7月にかけて「午後7時半ごろ」だった日没は、11月~12月には「午後5時ごろ」になり、2時間半も早くなる。

愛媛県警の過去5年間の統計によると、10月~12月にかけて発生した交通事故で、死亡した人の数は86人で、年間の死者数の約35%を占める。特に、車と人との事故では44人が死亡していて、このうち32人が道路を横断中の事故だという。

時間帯別にみると、この時季、日が沈む夕暮れの午後6時ごろは会社帰り、学校帰りなどで人が動く時間帯とも重なっていて、死亡事故が最も多く発生している。

日没時刻の30分前にはライト点灯を

夕暮れの危険な時間帯に事故を起こさないため、私たちは何に気をつければよいのだろうか。愛媛県警交通企画課の井上貴志課長補佐は「ドライバーは早めにライトを点灯して」と呼びかけている。

愛媛県警交通企画課・井上貴志課長補佐:
薄暮時間帯は非常に見通しが悪くなります。日没時刻のおおよそ30分前を目安に点灯していただきたいと考えております

警察が最も有効な手段として呼びかけているのが、「早めのライト点灯」だ。特に暗くなり始めた夕暮れ時は、ライトがついているか・ついていないかで見え方の差は歴然だ。100メートル先まで見えるハイビームにこまめに切り替えることも大切だという。

歩行者は明るい服装または反射材を

また、歩行者側も事故に遭わないため、ドライバーに自分の姿に気づいてもらう工夫が必要だ。

10月18日の午後6時に、着ている服装による見え方の実験をした。100メートル先には、白い服と黒い服を着た2人の人物がいる。

車から見ると、白い服はロービームのままでも認識できるが、黒い服は全く見えない。ハイビームにしても、黒い服の人物は周囲の背景に溶け込み、見えづらいままだ。

次は、7本のコーンに、それぞれ違った色の布をかぶせて見え方を比べた。ロービームでは、白と黄色の2本しか分からない。

ライトをハイビームにすると、赤など明るい色は見えやすくなった。しかし、ぱっと見は6色と思ってしまうほど、黒色のコーンは周囲に溶け込み、気づきにくい。

愛媛県警交通企画課・井上貴志課長補佐:
歩行者は、できるだけ明るい服装をしていただきたい。またその上で、反射材を身に着けるなどして、自分自身を目立たせるようにしていただきたいと考えています

見えにくい色の服装の時、役に立つのが反射材だ。先ほどは全く見えなかった黒い服を着た状態でも、反射材を着けると暗闇の中に光る人のようなものが見えた。

愛媛県警交通企画課・井上貴志課長補佐:
薄暮時間帯は、非常に交通事故が起きやすい時間帯となります。ドライバーの方、歩行者がそれぞれできることを実践していただいて、交通安全に気を付けていただきたいと思います

愛媛県警は10月20日~11月30日まで、特別対策「夕暮れセーフティ」として、早めのライト点灯や歩行者の反射材着用を呼びかけている。これからの時期、ドライバーも歩行者も事故を避けるための対策が必要だ。

(テレビ愛媛)

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