久留米市役所に近い市道の中央分離帯でしっかり根を張っていたのは、何とバナナだ。南国のフルーツ「モンキーバナナ」3株が、中央分離帯でたわわな実をつけている。
「南国みたい。よかー、食べたーい」と、住民にはそれなりに受け入れられている様子だが、実際は無許可で植えられたものなのだ。

緑を増やそうと…2年前から栽培

久留米市なのに南国ムードを漂わせるバナナに、この日、現場では1人の男性が水やりをしていた。

ーー今、水をやってましたけど、バナナを植えられた方ですか?

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バナナを栽培した男性:
そうです。(日課のように水を)あげていますよ

バナナに水やりをしていたのは、50代の男性。中央分離帯にポイ捨てされるゴミの多さを見かねて緑を増やそうと、2年前から植え始めたという。
2022年は枯れて育たなかったが、こまめな水やりが功を奏したのか、2023年は完熟間近だ。

バナナを栽培した男性:
何本かとられている。減っていますね。真ん中だけ減っている。朝5時半に自転車のかごに入れた人がいた

熟れる前に盗まれてしまうほど珍しいバナナ。さらに、道路上で写真撮影が行われるなど危険な行為も相次いでいる。

久留米市が伐採要請 通行の妨げに

ただ、そもそも中央分離帯で植物を勝手に栽培することは、道路法に抵触する可能性もある。伸びた葉が通行の妨げになる恐れもあるなどの理由からだ。

バナナを栽培した男性:
(違法であることは)知りませんよ。汚いところをきれいに、それだけ。許可は得ていませんし、許可の取り方は知りませんでした

車の通行の妨げになっているという指摘もあり、久留米市は男性に伐採するよう要請している。男性はこの要請についてどう考えているのだろうか。

バナナを栽培した男性:
先週、(市が)来て「速やかに撤去を」ということで、「(植え替える場所を)探していますから、こちら、その方向で」ということで待ってもらっている。(収穫したバナナは)食べますし、近所のお姉さん方にあげます

ーー植えた方としては、“何バナナ”と名付けたいですか?

バナナを栽培した男性:
「無許可バナナ」でいいんじゃないですか?たくましく自給率が少ない日本にとっては、ここだってバナナが栽培できることを立証できましたからね

男性は、11月中にもバナナを友人の畑などに植え替えるという。好意的に見ている市民もいるようだが、やはり道路の視界が悪くなると危険だ。

“無許可栽培”は他県でも

こうしたケースは全国で他にもあり、2022年夏には、愛知・名古屋駅の目の前の植え込みにナスやトマト、ピーマンなど夏野菜がたわわに育った。市民の「無許可栽培」なのだが、市の指摘もあり、最終的には植えた人が別の場所へ植え替えている。

街中に緑や果物が増えるのは確かに心が安らぐが、公共のエリアで勝手に栽培するのはルール違反となるのだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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