中国の日本の水産物の全面禁輸を受け、なぜか日本全国でホタテの推し活が広がっている。
最近では、ホタテ支援を取り上げるニュースも増えている。
なぜホタテを推すのか?
この記事の画像(7枚)北海道の水産経営課の小林成行さんによると、輸出される北海道産の水産物の中で「ホタテ」の占める割合が非常に高いからだという。
「北海道産の水産物全般に支援を行っている。輸出された道産水産物の中でも、ホタテが占める割合が非常に高いので、まずは国内・北海道内での消費を伸ばしていくことが重要。そのため、キャンペーンなどで取り組み消費拡大を図っている」(小林さん)
2022年の日本の水産物の輸出額は3873億円にのぼる。
全体の輸出額のうち、ホタテの輸出額は1078億円と、品目別のトップの金額を占めている。
さらに日本のホタテ輸出先のトップ3は、中国、台湾、アメリカだ。
【日本のホタテ 輸出先トップ3】
1.中国(467億円)
2.台湾(111億円)
3.アメリカ(78億円)
日本のホタテの輸出先としてトップの中国からの全面禁輸を受け、かなりの打撃を受けてい
た。
さらに、北海道産ホタテの中国輸出は、全体の約8割を占める。
そのため、今回の輸出停止で北海道に入るはずの約400億円が一気になくなってしまい、消費
拡大を促すために、全国的にキャンペーンが行われている。
しかし、消費拡大を促されても、スーパーで売られているホタテの価格は変わらない。
なぜホタテは安くならない?
函館市の水産加工会社のホタテ倉庫。実に数十トンものホタテが積み上げられている。
在庫が余っているのにもかかわらず、安売りしないのはホタテ業界が抱えるジレンマが要因となっていた。
「毎年6~10月末にかけて、オホーツク産のホタテを加工して冷凍貝柱を製造している。例年だと加工と並行して商談も進むが、7月から商談が一切ストップしていて、在庫だけがどんどんたまっている状態」(北海道内の水産加工業者)
倉庫の3割ほどで収まるものが、約7~8割まで埋まっている状態に。
ホタテの価格が安くならない理由については、
「原料を買い取って加工しているので、加工に関わる費用もかかる。消費してもらうために安くすると、加工業者の死活問題につながってしまう」(北海道内の水産加工業者)
実は、生産者と水産加工会社の間では、輸出停止前にホタテの取引価格が決まっているため、水産加工会社は高値でホタテを引き受けざるを得ない状況に。
その価格を下回る安値で市場に出してしまうと、利益が全くでなくなるのでなんとか価格を維持していきたいのが本音のようだ。
ホタテの価格 2024年は?
2023年はホタテの価格が決まっていたため水産加工会社への影響が強かったが、2024年は生産者との価格交渉から始まる。
そのため、このまま輸出停止が続くと、価格が下がる可能性も。
価格が下がると消費者は手に取りやすくなるが、北海道経済への打撃は著しいものに。
ホタテ漁に携わる人や地域の経済、雇用にも影響を及ぼすかもしれない。
北海道の豊かな水産物を守ることは、地域の経済を守ることにもつながる。