10月7日から9日にかけて行われたフィギュアスケート中四国九州選手権。

シニア男子は杉山匠海が合計179.78点で優勝、シニア女子は合計177.85点で三宅咲綺が優勝した。

この中四国九州選手権で西日本選手権への出場権を獲得したシニア・ジュニアの選手たち、
そして全日本ノービス出場を決めた選手たちの結果を振り返っていく。

【シニア男子】杉山匠海が2度目の優勝

シニア男子は出場した7名全員が西日本選手権への進出を決めた。

杉山匠海が2021年以来2度目の優勝となったシニア男子。

2021年以来の2度目の優勝を果たした杉山匠海
2021年以来の2度目の優勝を果たした杉山匠海
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SPで3回転ルッツ+3回転トゥループのコンビネーションジャンプを、両手を上げながら跳んでみせ、出来栄え点(GOE)を+1.38をマークするも、冒頭に組み込んだトリプルアクセルの転倒が響き2位に。

しかし、FSでは前日にミスがあったトリプルアクセルを見事、着氷させる。

さらにバレエで培った、伸びやかかつ柔軟性のある動きで観客を魅了し、逆転Vを勝ち取った。

昨季から無良崇人コーチに指導を受け、ジャンプを作り変えて臨んだという今大会。

世界でも活躍した無良コーチならではの豊富な経験などをもとに、メンタル面でも成長したという。

次戦の西日本選手権へ向けては、「弱気な自分に負けないように頑張りたい」と4年連続の全日本出場がかかる大事な一戦へ挑む。

SPではトリプルアクセルを決め首位発進した櫛田一樹
SPではトリプルアクセルを決め首位発進した櫛田一樹

2位は、現役続行を決めた櫛田一樹。

20位と悔いの残った去年の全日本選手権後、高橋大輔さんにバッタリ会ったという櫛田。

同じ岡山県出身でともに練習したこともあるという高橋に、櫛田は引退の迷いを打ち明けた。

「少しでも悔いがあるなら、できる時にやった方がいい。僕がそうだったから復帰したんだけどね」と言われ、悩んだ末にもう一年の現役続行を決意した。

そのエピローグに相応しい「櫛田一樹だから滑り切れるプログラム」をテーマに、意気込む今シーズン。

再び挑戦する全日本への険しい道のりとなった初戦の今大会。

SPでは冒頭トリプルアクセルをクリーンに決め首位発進。

高橋大輔に背中を押され、現役続行を決めた櫛田
高橋大輔に背中を押され、現役続行を決めた櫛田

翌日FSは、ジャンプにミスが出たものの、熟練した表現力で演技構成点はトップスコアを獲得。

結果は2位となったが「自分がやりたい演技をすること。失敗しても満足のいく演技がしたい」と櫛田は前を向く。

ただならぬ思いで挑む今シーズン、有終の美を飾れるか注目だ。

シニア男子表彰台(中四国九州選手権)
シニア男子表彰台(中四国九州選手権)

【シニア男子】
1位 杉山 匠海(岡山大学)179.78点
2位 櫛田 一樹(倉敷FSC)172.61点
3位 鈴木 零偉(福岡フィギュアアカデミー    )154.25点
4位 垂水 爽空(福岡フィギュアアカデミー    )153.62点
5位 松下 大地(熊本バンビーニクラブ)140.58点
6位 戸田 晴登(北九州FSC)134.29点
7位 立神 杏士郎(福岡フィギュアアカデミー)130.24点

【シニア女子】三宅咲綺が3連覇

上位7名が西日本選手権へ出場を決めたシニア女子。

優勝は中四国九州ブロックで3連覇を飾った三宅咲綺。

継続3年目のSPをノーミスで滑りきった三宅咲綺
継続3年目のSPをノーミスで滑りきった三宅咲綺

継続3年目となるSP『Never Enough』を、レベルアップし続ける表現力で滑り切り、ノーミス演技で首位発進する。

この時、会場のオーヴィジョンアイスアリーナ福岡から離れた東京で、三宅の演技を見守っていた人物がいた。

それは、練習をともにするチームメイトで世界選手権2連覇中の坂本花織だ。

三宅のチームメイト、坂本花織も東京から演技を見守った
三宅のチームメイト、坂本花織も東京から演技を見守った

ジャパンオープン出場のため都内近辺へ出向いていた坂本を取材していたところ、坂本のスマホのアラームが鳴りだした。

三宅の演技に合わせてアラームをセットしていたという坂本は、滑り終えた三宅をみて「練習通り。さすが」と賞賛した。

翌日FSでは、『カルメン』を披露。前日の演技を見届けた坂本も「音ハメがかっこいい」と
絶賛する新プログラムだ。

大会3連覇を果たした三宅
大会3連覇を果たした三宅

冒頭ダブルアクセルと3回転トゥループのコンビネーションを完璧に成功。

不安要素だったという3回転ルッツにミスが出るも、それ以外のジャンプをまとめ大会3連覇となった。

地元・岡山と神戸での二拠点生活も2年目を迎えた三宅が目指すのは、「もう一度強化選手に選ばれること」だ。

そのためにも全日本に出場し結果を残すことは必須となる。

その道へつながる西日本選手権に向けては「レベル4を取れる練習を積み重ねていき、絶対(レベル4を)取れるようにしていきたい」と意気込む。

目標の西日本1位通過なるか、期待がかかる。

シニア女子表彰台(中四国九州選手権)
シニア女子表彰台(中四国九州選手権)

【シニア女子】
1位 三宅 咲綺(岡山理科大学)177.85点
2位 永見 千代乃(ノートルダム清心女子大学)140.64点
3位 田村 綾音(広島文化学園大学)127.55点
4位 鴨井 彬莉彩(福岡フィギュアアカデミー)115.65点
5位 藤 由妃乃(ユニバースFSC)113.78点
6位 大山田 光(福岡フィギュアアカデミー    )107.90点
7位 佐々木 和音(鳥取県連)103.52点

【ジュニア男子】大村健太が躍進

ジュニア男子では、西日本には上位4名が進出。

優勝は去年6位からの躍進を遂げた大村健太だ。

SPでは『ワルキューレの騎行』の曲に合わせて冒頭3回転トゥループ+3回転トゥループのコンビネーションをクリーンに成功させ首位発進。

ジュニア2年目で中四国九州ブロックを制覇した大村健太
ジュニア2年目で中四国九州ブロックを制覇した大村健太

続くFSでは全てのジャンプを着氷させ、スピン全てでレベル4を獲得し、ジュニア2年目での中四国九州ブロック制覇となった。

去年よりも跳べる種類が増えたというジャンプは、将来的に4回転ジャンプも視野に入れている。

2年連続の全日本ジュニア出場を目指し、「西日本選手権ではノーミスしたい」と気合を入れて挑む。

ジュニア男子表彰台(中四国九州選手権)
ジュニア男子表彰台(中四国九州選手権)

【ジュニア男子】
1位 大村 健太(岡山FSC)154.71点
2位 小河原 泉颯(倉敷FSC)142.36点
3位 吉岡 祐誠(沖学園)139.92点
4位 末国 太樹(岡山理大附高校)135.8点

【ジュニア女子】髙原奈々子が初優勝

上位7名が西日本へ出場を決めたジュニア女子。

髙原奈々子が初優勝した。

自分の武器は「最後まで諦めずに滑り切ること』だという髙原。

去年16位から大躍進した髙原奈々子
去年16位から大躍進した髙原奈々子

SP3位からのスタートだったが、FSで全てのジャンプを着氷し、見事逆転優勝する。

去年16位からの大飛躍となった。

今大会の会場でもある福岡県唯一のスケートリンク「パピオアイスアリーナ」は、開業後30年を迎え、老朽化のため2021年7月に一時閉鎖を余儀なくされた。

4月に愛称を変えて営業再開したオーヴィジョンアイスアリーナ福岡
4月に愛称を変えて営業再開したオーヴィジョンアイスアリーナ福岡

しかし、今年4月にオーヴィジョンアイスアリーナ福岡と愛称を変え営業再開。

福岡を拠点とする髙原は、このスケートリンクの営業再開とともに、新設された福岡フィギュアアカデミーへ所属。

所属先を変え心機一転した髙原
所属先を変え心機一転した髙原

「練習環境が整った中で質の良い練習ができ、所属を変え陸上トレーニングなどで氷にいない時間でもジャンプのイメージができるようになった」と飛躍の要因を語った。

心機一転で挑む髙原の一番叶えたい目標は、初めての全日本ジュニア出場だ。

目標達成へ向けて、次戦の西日本選手権では3回転ルッツ投入を目指す。

ジュニア女子表彰台(中四国九州選手権)
ジュニア女子表彰台(中四国九州選手権)

【ジュニア女子】
1位 髙原 奈々子(福岡フィギュアアカデミー)126.93点
2位 横田 胡幸(香川フィギュアC    )125.02点
3位 木村 芽愛(香川フィギュアC    )123.44点
4位 武田 沙弓(香川フィギュアC    )118.73点
5位 岡田 衣千乃(岡山FSC)111.05点
6位 永川 実咲(飯塚フィギュアクラブ)110.69点
7位 中井 結良(沖学園)109.27点

【ノービスAB、男子・女子】

11~13歳が参加するノービスAクラスと、9~11歳が参加するBクラスでは、この中四国九州選手権を通過すると、10月21日開催の全日本ノービスへ出場できる。

ノービスA男子は推薦選手の岡崎隼士を除く、上位6名が全日本ノービスへ出場を決めた。

ノーミス演技で優勝した岡崎隼士
ノーミス演技で優勝した岡崎隼士

優勝は、岡崎隼士。

習っているというバレエが活かされた『Swan Lake』のプログラムを抜群の表現力で滑り切り、演技構成点はダントツの54.38点を獲得。

ジャンプもノーミスし、2位と20点以上差をつける97.27のハイスコアを叩き出した。

キスクラではガッツポーズも飛び出した岡崎
キスクラではガッツポーズも飛び出した岡崎

自己ベスト更新に、キスクラでは大きくガッツポーズも飛び出し、喜びを表現。

「試合でノーミスができたのは大きな自信になった。ノービス・ジュニア合宿で学んだことをしっかり出せた」と振り返った。

去年5位の全日本ノービスへ向けては、「自分の出せることを全て出し切って良い演技をできるようにしたい」とさらに磨きをかけ挑む。

ノービスA男子表彰台(中四国九州選手権)
ノービスA男子表彰台(中四国九州選手権)

【ノービスA男子】
1位 岡崎 隼士(蒼明学院中等部)97.27点
2位 谷 圭(岡山FSC)76.09点
3位 加来 翔映(福岡フィギュアアカデミー)71.99点
4位 秋元 聖輝(飯塚フィギュアクラブ)68.25点
5位 越野 隆清(ユニバースFSC)61.77点
6位 吉岡 陽稀(飯塚フィギュアクラブ)59.03点
7位 双木 洸(クラブ サザンクロス)55.56点

上位4名が全日本ノービス出場となったノービスAの優勝は吉田菫。

今季もアイスダンスとの二刀流で挑む吉田は、今大会シングルとして出場。

母親の手作り衣装で大会に臨んだ吉田菫
母親の手作り衣装で大会に臨んだ吉田菫

お母さんの手作りであるピエロの衣装が印象的な新プログラム『フェイントインタクラウンズ』を披露。

“少し不思議な感じ”を意識して滑っているという曲の世界観を体現し、演技構成点は唯一の40点台を獲得。合計84.55点をマークし、自己ベスト更新となった。

次戦の全日本ノービスへはアイスダンス50点超え、シングルでは85点超えの自己ベスト更新を狙う。

目標達成へ向けて体力強化とジャンプ・スピンを完璧にできるよう練習に励む。

ノービスA女子表彰台(中四国九州選手権)
ノービスA女子表彰台(中四国九州選手権)

【ノービスA女子】
1位 吉田 菫(蒼明学院中等部)84.55点
2位 加生 乙夏(大分ゴールドFSC)65.76点
3位 堀池 礼姫(熊本バンビーニクラブ)61.35点
4位 小野 優月(岡山FSC)60.39点

ノービスBでは男子が推薦選手の佐久間陸を含む上位3名全員が、女子は上位3名が全日本ノービスへの出場権を獲得した。

ノービスB男子表彰台(中四国九州選手権)
ノービスB男子表彰台(中四国九州選手権)

【ノービスB男子】
1位 佐久間 陸(福岡フィギュアアカデミー)69.72点
2位 ムハンマドアルファティ サプトゥラ(倉敷FSC)46.63点
3位 足立 悠太郎(やくもFSC)37.78点

  

ノービスB女子表彰台(中四国九州選手権)
ノービスB女子表彰台(中四国九州選手権)

【ノービスB女子】
1位 林 芽彩菜(ユニバースFSC)54.66点
2位 西村 代里子(香川フィギュアC)50.95点
3位 仲村 結愛(クラブ サザンクロス)50.64点

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
FODで全選手・全演技LIVE配信

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班