見守りカメラの映像が、大きな手掛かりとなった。2023年7月、福島県福島市の女性の自宅を訪ねてきた男。息子の同僚になりすまし、現金200万円をだまし取ったとされる犯人だ。警察は10月11日に、この男を逮捕。「金が欲しくて闇バイトに応募した」と供述しているという。
見守りカメラが捉えたのは
「喉の調子が悪い。手術のお金を用意してほしい」
福島県福島市に住む80代の女性に電話があったのは、2023年7月。息子を名乗る男からだった。その後、女性の自宅を訪れたのが、詐欺の疑いで逮捕された岩手県の和田誠也容疑者(22)

容疑者:福島医大の方に4時半までに持ってきてと言われたので
女性:そうですか
容疑者:大丈夫ですよ
和田容疑者は息子の同僚になりすまし、女性に「お金を病院に持っていかないといけない」などと言葉巧みに話しかけ、現金・約200万円を騙し取った疑いがもたれている。

老後のための200万円
「逮捕されて良かったのが一つと。こういった案件は、お金が戻ってこないっていうので、かなり複雑な気持ち」

福島テレビの取材に、複雑な胸の内を明かしてくれたのは被害女性の家族。だまし取られた現金200万円は、被害女性の老後のために貯めたものだった。
被害女性の家族は「怒りがこみ上げるというか、この拳をどこに下ろしていいか。いったいどうしたらいいのかと」と話す。

犯人特定に映像が役立つ
高齢の被害女性を心配し、家族が見守りのために設置したカメラ。それが犯人の逮捕につながった。被害女性の家族は「向こうも警戒しているので、ドアノブも触っていない。カメラの映像しか証拠がなかったので、今回それが役に立ったのが本当に良かった」と語る。

捜査関係者によると、別のなりすまし詐欺事件で逮捕された和田容疑者の服装や髪型が映像と合致。容疑を認めたという。

受け子として加担か
「金が欲しくて闇バイトに応募した」と話しているという和田容疑者。現金を受け取るいわゆる「受け子」として、なりすまし詐欺に加担してたとみられる。警察では余罪が複数あるとみて捜査を進めている。

手交型にはカメラ設置が対策に
今回の事件は、なりすまし詐欺の手口でもいわゆる「手交型」という直接自宅などに訪問し金をだまし取るものだった。こうした手口には、防犯カメラが被害防止対策の一つになるという。

福島県警察本部・生活安全企画課の若松真弓管理官は「犯人は自分の姿は残したくないというのがあるので、防犯カメラがある家という認識があればそこにはいかなくなったりとか、防げるというのはある。自宅の玄関とか庭先とか、来訪者が来たことを間違いなくわかるような映像を残しておくだけでも、証拠になる。ダミーを置いたり、防犯意識があることを外にアピールするだけでも違う」と話す。

留守番電話の常時録音も
また防犯カメラ以外にも、留守番電話を常に録音状態にすることで詐欺被害の予防や、犯人の逮捕につながる手がかり・証拠にもなる。

一方で、騙されないために大切なのは「情報に接し、警戒する」こと。新たな詐欺の手口、地域で確認された不審電話など、警察はいち早く情報を発信している。

家族や地域、多くの人の目と声かけが大切な財産を守ることにつながる。
(福島テレビ)