九州で初めて開かれた自転車の国際大会「マイナビ ツール・ド・九州2023」。熊本県内では雨の中、阿蘇で熱戦が繰り広げられた。大盛況となった大会の舞台裏にも密着し、激闘の4日間を振り返る。

国内外から18チーム約100人が出場

10月6日から4日間にわたって開催された、自転車の国際大会「マイナビ ツール・ド・九州2023」。

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国内外から集まった18チーム約100人が、福岡、熊本、大分の3県であわせて426kmのコースを4日間の日程で駆け抜けた。
初日は北九州市で、「クリテリウム」と呼ばれる周回型のレースが行われた。

観戦に訪れた人は「すごい風圧。そばにいたら吸い込まれそうになる。大型トラックが通っているよう」と話し、世界レベルのレースを間近の大迫力で楽しむことができるのも今大会の魅力だ。

個人戦だけでなくチームでの駆け引きも

自転車レースは、ゴールまでの時間や着順を競う個人種目と思われがちだが、実はチーム戦でもある。

メンバーの勝利がチームの勝利であり、「エース」の空気抵抗を減らすために隊列を組んで走るなど、チーム同士の駆け引きも見どころだ。

今大会の生配信はテレビ熊本が担当し、社内に特設のスタジオを設けて、全世界に配信を行った。

また、現場では郡司琢哉キャスターなどテレビ熊本のアナウンサーが現場からリポートし、レースを盛り上げた。

2日目スタート
2日目スタート

2日目からは、国際自転車競技連合公認の本格的なレースがスタート。この日は福岡が舞台となり、北九州市から大牟田市までの約144kmの区間を走る。

2日目の福岡ステージは、福岡・みやま市出身でチームブリヂストンサイクリングの兒島直樹選手が地元でのレースを制した。

兒島選手は、「第1回大会で地元で走れる貴重な機会だったので、勝つことができてすごく良かった」と地元で勝利できた喜びを語った。

熊本阿蘇ステージはあいにくの雨

そして大会3日目、舞台を熊本に移し、阿蘇地域でレースが行われた

スタート前にはクラシックカーがコースを走り、レースをPRした。観客は、「きのう福岡で見て、きょうはこっちで。なかなかこういう機会はないので楽しみにしていた」と熊本でのレースに期待しているようだ。

3日目の熊本阿蘇ステージは、スタート前からあいにくの雨となり、各チームが雨で滑りにくくなるように、タイヤの空気圧を下げるなどセッティングを行った。

そして雨の中、第2ステージの熊本阿蘇ステージがスタートした。コースは、南小国町から南阿蘇村までの約108kmで、3日間の中でアップダウンが多いのが特徴だ。

注目のスプリント区間に大勢の観客

レースは進み、選手たちは今回のコースの注目ポイントの一つ、阿蘇市一の宮町宮地のスプリント区間へ。

観客たちは「自転車じゃない(と思う)くらい迫力がすごかった」、「初めて見たが、スピード感に感動した」などと驚いているようだった。
阿蘇神社前では、阿蘇中央高校の生徒たちが手作りのボードを持って声援を送った。

阿蘇中央高校の生徒は「阿蘇に興味を持ってほしいというのもあるし、落車などでけがをしてほしくないという思いで(ボードを)作った」、「自転車はみんな知っていると思うので、阿蘇に来てくれるのがとてもうれしい」などと話し、阿蘇への愛が感じられた、

アップダウン激しい周回コース

熊本阿蘇ステージ、最後にして最大の難所が南阿蘇村の周回コースだ。勾配のきつい約11kmの周回コースを5周する。

そんな中、トップ集団を抜け出したのが、世界の有力レースを転戦する今大会唯一のワールドチーム「アスタナ・カザクスタン・チーム」のアンドレイ・ゼイツ選手だ。雨が降りしきる厳しいコンディションの中、熱戦を制した。

熊本阿蘇ステージのコースについて、全体3位で日本人最高順位となったEFエデュケーション・ニッポディベロップメントチームの留目夕陽選手は、「最高ですね、信号も少なくて上りもしっかりあってこれが晴れならもっと最高のレースだった。きょうは雨で残念だったが、晴れなら最高のコースだったなと思う」と語った。

九州の復興を大会通して世界にアピール

最終日は大分が舞台で、日田市の約129kmでレースが行われ、ARAスキップ・キャピタルのデクラン・トレザイス選手が制した。

また、3日間の総合優勝にあたる個人総合時間賞は、熊本阿蘇ステージを制したアンドレイ・ゼイツ選手が受賞し、見事、初代チャンピオンに輝いた。

この大会のコンセプトは、「九州の復興」。熊本地震や豪雨などの自然災害から、力強く立ち上がる九州の姿を全世界に向けてアピールした4日間となった。

(テレビ熊本)

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