アフターコロナで外国人旅行客も回復する中、浮き彫りとなっているのが「タクシー不足」だ。地域の交通体制を維持するために働き手をどう確保するか、抜本的な対策が求められている。
深刻化する“タクシー不足”
福岡の“玄関口”、JR博多駅の博多口にあるタクシー乗り場。3連休を前にした10月6日の金曜日、午後6時過ぎ。タクシーが待機する約60台分の駐車スペースに車両はなく、空車で戻ってきたタクシーが、乗客を乗せてはすぐに走り出す状況になっていた。
この記事の画像(8枚)タクシー待ちの客:
つかまりにくい。週末に飲んだ帰りやホテルまで行くとき
全国的に問題となっているタクシー業界の人手不足。高齢化や新型コロナウイルスの影響でドライバーが減少する中、コロナ禍が落ち着き、乗客が増えたのが主な要因だ。
JR博多駅前で乗客に話を聞くと、タクシーがつかまりにくい状況に困惑の声も…。
タクシー待ちの客:
自宅が城南区。(配車の)電話をかけたら1本もつながらなかった。(その時は)歩き
タクシー待ちの客:
東区香椎でスナックをしているが、全く来ない。夜12時過ぎに呼んでも来ない。(配車の)アプリを3つ4つ使って一斉に呼んで、つかまると他はキャンセルする
福岡市タクシー協会によると、福岡市とその周辺を含む福岡市交通圏の法人タクシーのドライバー数は約6,700人。10年前と比べて3割ほど減少している。
“好待遇”アピールし人手不足の解消へ
福岡市のタクシー会社「ラッキー自動車」は、グループ全体の運転手の数が約400人。コロナ禍で高齢ドライバーの離職が相次ぐなど人手不足の課題に直面している。
ラッキー自動車営業本部・山下祐史統括課長:
コロナ禍は感染が怖いということもあり、高齢ドライバーが家族から(勤務を)止められたこともあった
福岡市内の営業所では新人研修が行われていた。研修生は真剣に聞き入る。
担当者(新人ドライバー研修):
タンクが2つ、ピンクの液体が入っている。両方とも冷却水です
タクシードライバーになるには、2種免許の他、タクシー協会の講習を受ける必要がある。資格取得後、早ければ2週間ほどでプロとしてハンドルを握ることができるようになる。
この会社では、最初の半年間の給与を保証するなど待遇条件の良さをアピール。2023年4月以降の求人で80人の採用ができた。
研修を受ける新人ドライバー(50代):
(人手不足のタクシー業界に転職するのは)逆にそれがチャンス。会社側も雇用を積極的にしているようなので
研修を受ける新人ドライバー(50代):
福岡の場合、海外から観光客が来て、タクシーも不足している。その担い手になればと
国の規制が足かせに…
しかし、ドライバーを確保できたとしても稼働できる車が増えるわけではない。ドライバーの数は会社の判断で増やすことはできるが、車の台数を増やすことは、国の規制で原則、認められていないのだ。
ラッキー自動車営業本部・山下祐史統括課長:
福岡市交通圏のタクシー台数は決まっているので、自社では増やせない。需要が高まる時間帯に稼働を集中させて、利用客に迷惑のかからないような稼働状態をつくっていきたい
(テレビ西日本)