福井市にある福井刑務所に年一度、一般市民が入ることができる催しがある。受刑者が作った製品の販売や施設見学会などがある「矯正展」だ。
福井テレビでは製品をつくる刑務作業中の受刑者を取材。福井刑務所は「矯正展を通じて、受刑者の社会復帰に向けた取り組みを知ってもらいたい」と話す。
潜入!福井刑務所
福井刑務所は福井市中心部を流れる足羽川近くにあり、敷地面積4万3,000平方メートル、収容人数は458人で、現在は男性受刑者など約330人が生活している。26歳以上で、ほとんどが初犯だ。

受刑者の一日は細かいスケジュールで動いていく。起床は午前6時半、就寝は午後9時。起きている時間の大半は「木工」「洋裁」「革工」などの刑務作業を行う。
統括矯正処遇官:
刑務作業とは受刑者が社会復帰に向けて、規則正しい生活を送るために行っている作業です
福井刑務所の矯正展は9月30日に開催された。刑務作業でつくった製品の販売や施設見学などが行われた。新型コロナウイルスの感染対策が緩和されたことで、2023年は4年ぶりの本格開催となった。

矯正展では全国の刑務作業でつくられた製品584品目、約6,000点を販売した。福井刑務所で作られたまな板は2,900~3,220円、革のコインケース・財布は1,630~9,200円。

開催は午前9時からだったが、30分前には正門前には長い行列ができた。高品質な製品は争奪戦で、ある刑務所でつくられたせっけんは1時間で品切れになった。
矯正展を前に特別な許可を得て、普段入ることのできない刑務作業の様子を取材した。
黙々と…製品作りの様子
イチョウの木材からまな板をつくる作業では、男性受刑者が板の角を丸めるため専用の機械で丁寧に削っていた。

作業を指導・監視する専門官は「天然板で一枚一枚そりやひねりがある。それをまな板に直すのに経験と技術が必要になる」と話す。

刑務作業は午前中に4時間、午後からは3時間半の計7時間半行う。受刑者は作業を通して、技術や労働意欲、忍耐力を養うという。規則正しい生活を送ることが、社会復帰の足掛かりとなる。

革製品の加工ではコインケースや財布をつくっていた。厚い革に太い針を通して、糸を縫い込んでいく。受刑者はしゃべることなく、黙々と作業に打ち込む。
統括矯正処遇官:
売り上げの一部は犯罪被害者の団体に寄付される、今後の刑務作業が円滑に回るような資金となる
刑務所には知らないことがいっぱい
矯正展では受刑者が生活する単独室や面会室、工場などの見学会も開かれた。

単独室の広さは約3畳、1人で使用する。
統括矯正処遇官:
刑務所というのは知らないことがいっぱいある。こうした機会を通じて、受刑者の社会復帰に向けた取り組みについて知ってもらいたい
(福井テレビ)