大分県別府市は市立の幼稚園の数を現在の14から7に半減させる案を検討している。保護者から戸惑いの声も上がる中、なぜ減らそうとしているのか。その背景などを取材した。

別府市立幼稚園 14園から7園に

再来年度末に閉園が検討されている別府市立亀川幼稚園。市はこの園を含む7つの市立幼稚園を来年度末と再来年度末にわけて閉園し、現在の14園から7園に半減させる計画を9月に発表した。

その背景にあるのが「少子化」。
現在、亀川幼稚園に通っているのは16人で60人の定員を大幅に下回っている。
市によると、昨年度の市立幼稚園の定員は795人だったが、通ったのは396人で定員の49.8%と半数程度になっている。

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保護者からは戸惑いの声も

9月22日に開かれた説明会で市は、現在全ての小学校の敷地内に設置している幼稚園を各中学校区に1園とし半減させるとした。
その上で学級数を増やすなどして対応するということだ。
利用者の減少のほか、施設の老朽化が進んでいることも理由としてあげている。

保護者からは「働いているお母さんたちが近くの幼稚園ではないところに送迎しないといけなくなる面に関しては、遠くなるというのが一番の懸念だと思う」といった戸惑いの声も聞かれた。

別府市こども部の宇都宮尚代部長は「子どもに対する思いというのは保護者も施設も私たちも同じ思い。その上でどういう風なところを目指したらいいのかという未来志向のもとで考えていきたい」と話している。

ニーズ高まる「こども園」

県内では3歳以上が対象となる幼稚園ではなく幼稚園と保育園の要素を持った「認定こども園」が増えていることも公立幼稚園が減る要因としてあげられる。
共働き世代が増え高まるこども園のニーズ。
文科省の「学校基本調査」によると、県内の「幼保連携型認定こども園」は昨年度から3か所増え現在121施設あり、統計を取り始めた2015年から倍増している。

また、「幼児教育・保育の無償化」で公立と私立の費用面の差がなくなっているというのも理由の1つだと言える。
別府市以外を見てみてもピーク時は39園あった大分市立の幼稚園が現在は12園となっていて、来年度からは10園となる見通しだ。
豊後大野市では現在5園あるが来年度から1園を残して、それ以外は園児の募集をしない方針だということだ。

待機児童の問題について別府市では私立の幼稚園や認可保育所など公立以外の施設もあるほか、今後、認定こども園などの受け皿の充実を図ることで対応できると話している。

公立の幼稚園は減っていきそうだが、今後も子どもを安心して産み育てられる環境を整えることが求められる。

(テレビ大分)

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