岸田首相は、9月26日の閣議で、閣僚に経済対策の取りまとめを指示した。その柱の一つが“働き控え”につながっている年収の壁の改革だ。一体、何が変わり、働く人にどんなメリットがあるのだろうか?
「年収の壁」解消で働き控えなくなる? 岸田政権の新経済対策
給与明細を見ながら計算をしているのは、大阪府内に住む大西さん。

大西眞由美さん:
夫に扶養の範囲で働いてくれと言われるので、必ず守るように。超えないようにとても意識しています

パートなどで働く人の年収が一定額を超えると配偶者の扶養から外れるため、働く日数を減らす人がいる。これがいわゆる「年収の壁」だ。
25日、岸田首相が「年収の壁支援強化パッケージについても週内に決定し、時給1000円越えの最低賃金が動き出す。10月から実施してまいります」と対策に乗り出すと述べた。
年収「106万円」と「130万円」2つの壁 本音はもっと働きたい
例えば夫が正社員、妻がパートで働く夫婦には主に2つの壁がある。
1つは、「106万円の壁」。妻の勤務先の従業員が101人以上で年収が106万円を超えると、妻は夫の扶養から外れ、厚生年金や健康保険に加入して、保険料を支払う必要がある。将来受け取る年金額は増えるものの、保険料が給与から差し引かれて手取りが減ることになる。

これについて岸田首相は「106万円の壁を超えることにともない、手取り収入が減少しないよう支給する社会保険適用促進手当、これを創設する」と表明。
もう一つは「130万円の壁」だ。大西さんも「今気にしているのは、130万円の壁」だと話す。

大西さんは従業員が100人以下の保育所で働いて、年収が130万円を超えると夫の扶養家族ではなくなり、国民年金と健康保険の保険料を支払う必要が出てくる。
手取りが減ってしまうため、大西さんは扶養の範囲内にとどまろうと勤務を週3日にとどめ、さらに同僚の保育士よりも早く帰ることで130万円を超えないように調整している。

ーーもし130万円の壁がなくなったら?
大西眞由美子さん:
今まであまり働いたことがないけれど、フルタイムで働いてみたいです。職場の人にも迷惑をかけないし、自分の収入が増えるのがしいです
本音はもっと働きたいと思っている大西さん。
岸田政権は、パートなどで働く人が一時的に年収が130万円を超えても、連続して2年間は配偶者の扶養に入ることができるようにする方針だ。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月26日放送)