9月23日に福島県が開催した総合防災イベント「そなえる・ふくしま2023」には、福島県国際交流協会も参加。「やさしいにほんご」をテーマにブースが設けられた。福島県には約1万5000人の外国人がいるという。災害時に必要な情報を求める外国人に対して、分かりやすく伝えるための取り組みが始まっている。
異国での地震に恐怖
イギリス出身のシャンガラ・ベネボレンスさんは、2022年5月に来日して福島市の学校などで英語を教えている。
この記事の画像(13枚)母国を離れて、慣れない日本での生活。今は必死に日本語を勉強しているが「言葉の壁」に不安を感じている。「はじめての地震は少し怖かった。どうすればいいか分からず、緊張した」と地震の怖さを肌で感じた。
”災害”の言葉は難しい
警報などが出されても、今何が起き・どう行動すればよいかわからないという。シャンガラ・ベネボレンスさんは「全然わかりません。漢字がいっぱいだから。災害の言葉とか漢字を勉強しないと、ほとんど災害のものがよくわかりません」と話す。
2011年の東日本大震災では「避難の呼びかけの意味がわからなかった」「安全な場所がどこか知りたかった」と、当時福島県で生活していた外国人への調査では「分かりやすい情報」を求める声が多く聞かれた。
やさしい日本語で意思疎通
福島県国際交流協会の福島哲也さんは、約90の国と地域から県内で生活する外国人に情報を伝える上で「日本語」を見直すことが大切だと考えている。
「日本で働いている外国人の方は、自分の国で短くても3ヵ月、長くて1年ほど勉強して日本に来ているので、ある程度の日本語は理解している。私たち日本人が言葉をコントロールしながら話すと、ある程度の意思の疎通というのはできる」と福島さんはいう。
「避難」はどう言い換える?
“分かりやすさ”と“思いやり”を合わせた「やさしい日本語」 例えば「避難」は「逃げます」、「停電」は「電気がつきません」、「土砂崩れ」は、「山から土や石が落ちてきます」と言い換える。
文章は短く、できるだけ「です・ます・してください」をつける、擬音を使わないなど、外国の人に伝わるよう工夫することがポイントだ。
命に関わる言葉は言い換えない
ただ「緊急安全確保」「線状降水帯」など、命の危険に関わる言葉は意味を覚えてもらうようにする。
福島県国際交流協会の福島さんは「優しく言おうとしても難しい。絶対必要な言葉がある場合は、言葉として外国の方にそのまま覚えてもらう。あえて優しい日本語にする必要はなくて、何かあった時に分からないと大変になるので、絶対に必要な言葉は覚えてもらう」と話す。
やさしい日本語で防災
福島県内で生活する外国人は約1万5000人。災害が少ない国や地域から訪れ、地震を経験したことがない人もいる。災害に関する言葉の意味、避難する場所はどこにあって、どう逃げたらいいか、やさしい日本語で伝えることが大切になる。
福島県国際交流協会の福島哲也さんは「私たちは当たり前でも、防災の言葉って難しい言葉。万が一、何かあった時は外国人の方々に優しい日本語を使って協力しながら避難したり、助け合っていただきたい。日本人から歩み寄るというのが必要」と語る。
寄り添い助け合う行動が、国籍も国境も越えてすべての人を守る。
(福島テレビ)