岩手・盛岡に秋の訪れを告げる伝統の「盛岡秋まつり」が9月14日から16日まで行われた。4年ぶりに通常開催となった2023年、祭りを盛り上げようと親子3代で山車の運行に携わった一家に密着した。

4年ぶり通常開催の祭りににぎわう沿道

盛岡秋まつり初日の14日。盛岡市神子田町にある祭りの団体・盛山会「さ組」を34年前に創設し、現在(2023年9月)、名誉会長の照井武彦さん(76)は、「待ちに待った祭り、山車ばやしで盛岡がもう少し元気になってほしい」と、この日を待ちわびていた。

盛山会 さ組 名誉会長・照井武彦さん
盛山会 さ組 名誉会長・照井武彦さん
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組の山車は毎年、照井さんがデザインしていて、2023年は、主人公が悪をくじき善人を救うという歌舞伎の演目「参会名護屋」がテーマだった。

組の山車は毎年、照井さんがデザインしている
組の山車は毎年、照井さんがデザインしている

この山車の運行を担うのは、副頭取で照井さんの息子の恭徳さん(51)だ。恭徳さんも「こうしてみんなで綱を引いて太鼓もたたいて、ようやく完全な祭りができるようになったのは喜ばしい」とうれしそうだ。

照井さんの息子の恭徳さんは副頭取
照井さんの息子の恭徳さんは副頭取

午前9時過ぎ、「さ組」が小屋を出発した。照井さんの中学生の孫・美仲さん(14)が笛を、小学生の孫・遥也くん(10)も掛け声などを担当し、照井さん一家は親子3代で参加した。

照井さんの孫・美仲さんは笛を担当
照井さんの孫・美仲さんは笛を担当

正午過ぎ、「さ組」の山車が盛岡八幡宮に到着。沿道のにぎわいに照井さんは「思った以上に市民の皆さんが待っていた。本当にお待たせした」と充実した表情を浮かべていた。

初日の見せどころ、「さ組」を含めた10台の山車が神社の参道を練り歩く「八幡下り」。「さ組」の先頭には、にこやかにほほ笑む恭徳さんがいた。

盛山会さ組 副頭取・照井恭徳さん:
久々で楽しい。みんながわくわくどきどきした瞬間だと思う

「さ組が一番かっこいい」

まつり2日目(15日)は、「山車大絵巻パレード」が4年ぶりに復活。内丸から大通りへと続く通りには、きらびやかな山車をひと目見ようと続々と人が集まっていた。

灯りをまとい、昼間と違う表情を見せる「さ組」の山車が登場。

遥也くんはこの日、うれしいことがあった。友達が手を振ってくれたんだという。「会えてうれしかった」と笑顔で話す。

美仲さんは「さ組が一番かっこいい。街を4年前も歩いていたから懐かしい」と祭りへの思いを語った。

帰ってきた光景に思わず涙も…

飛び交う威勢の良い掛け声。力強い太鼓の音。

照井さん一家、そして参加した全ての人の力強い祭ばやしが、盛岡の街に伝統の復活を告げているようだった。

恭徳さんにも熱いものがこみ上げる。

盛山会さ組 副頭取:照井恭徳さん:
拍手をもらうと感極まることがある。今まで頑張ってきたことが報われるのかなと思って。楽しい祭りになった

多くの人が待ち望んでいた「盛岡秋まつり」。照井さんは通常開催ができなかった時間と、今の「さ組」の姿を重ね合わせ、新たな目標を口にした。

盛山会さ組名誉会長:照井武彦さん:
4年ぶりですものね。子どもだったのが大人になり、大人はたくましくなり、一生懸命なのがわかる。祭りは来年もやりますよ

(岩手めんこいテレビ)

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