16日から2日間、24年ぶりに揃って北海道を訪問された天皇皇后両陛下。

現地で地元の方々と触れあった両陛下のエピソードについて、同行取材したフジテレビ社会部・宮崎千歳記者がお伝えする。

地元の保育園の子どもたちとも交流

両陛下揃っての北海道訪問は24年ぶりということもあって、釧路空港には多くの人達が集まり、到着を歓迎しました。

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天皇皇后両陛下が空港を出られると「陛下!」「雅子さま!」と歓声が上がり、「動いてる!」「本物だ!」という声も聞こえました。

今回の訪問は、17日に北海道厚岸町で行われた「全国豊かな海づくり大会」に出席されるためでした。

この大会は、昭和時代から続く重要な地方公務のひとつです。

天皇皇后両陛下が稚魚を放流された
天皇皇后両陛下が稚魚を放流された

カキの産地・厚岸の漁港で行われたイベントで、両陛下は漁船の歓迎パレードに手を振られ、海の環境が守られることを願って稚魚を放流されました。

厚岸町への訪問は初めてで、地元の保育園の子どもたちとこんな触れあいがありました。

皇后さま:
弟さんは何歳ですか?

園児:
3歳。

この時、陛下が後ろにいた女性を保護者だと思い声をかけられました。すると、すかさず皇后さまがフォローをされたんです。

皇后さま:
保育園の…。

陛下:
あ!保育園の!
職員:
そうです。

皇后さまは、いつもさりげなくアシストされています。今回、園児たちが出迎えることを知り、両陛下は「それならばぜひ」と交流を希望されたそうです。

マスク越しではありましたが、とても自然な形で触れ合われていました。

皇后さまが質問攻めに

厚岸漁港では、カキの稚貝を育てる施設も視察されました。

ここではカキの赤ちゃんを殻に一粒づつ付着させる方法を日本で初めて取り入れ、「カキえもん」というブランドのカキを育てています。

職員「そうですね」
職員「そうですね」

皇后さま:
殻につけるのが大変?
職員:
そうですね。

皇后さま:
石とかでも?
職員:
石でも大丈夫だと思います。

皇后さま:
目は2つ?
担当者:
目は1つなんです。
皇后さま:
あ!1つなんですね!

皇后さまはご自身の目を指さし、「目?」と驚かれていました。

殻に付着するまでカキには原始的な目が1つあり、付着すると消えるそうです。

そうした不思議な生態や、ふっくらとしたおいしいカキを育てるための様々な工夫について、お二人揃って次々と質問を重ねられていました。

まだまだ聞きたいことはおありだったと思いますが、時間切れになり、皇后さまは「すみません、質問攻めにしてしまって」と笑っていらっしゃいました。その土地のことをより深く知りたいという真摯な姿勢が伝わってきました。

陛下は水槽の中の稚貝をのぞき込み、「初めて見たね!」と皇后さまに話しかけられていて、お二人揃って訪問できた喜びも伝わってきました。

北海道での2日間は、かなりハードなスケジュールでした。

交流の時間も延びたので、全ての行事を終えて空港に向かうころには日が暮れ始めていました。

それでも沿道には多くの人が集まっていて、その都度、車のスピードを緩め、両陛下は手を振られていました。

側近は「待っていて下さる皆さんの顔や声が両陛下のお力になっているのではないか」と話していました。 

皇居に戻られると、長女の愛子さまが出迎え、両陛下は穏やかな表情で職員を労われていたそうです。
(「イット!」 9月19日放送より)