4月、東広島市にオープンした高齢者介護施設には学生のシェアハウスがある。
施設内にはアイランドキッチンがあったり、1階と2階が吹き抜けになっていたり「おしゃれ」な構造になっている。学生のシェアハウスがあることと、おしゃれな構造には理由があった。

介護施設でバイトすることでシェアハウスの賃料が無料に

4月にオープンしたばかりの高齢者介護施設。

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アイランドキッチンや吹き抜けなど、オープンなつくりになっている。

中西敦子アナウンサー:
Q:奥がおしゃれな空間ですね?
(株)ゆず 作田路帆 取締役:
ここはパティオ(中庭)になっています。緑がすごくいっぱいあって、季節季節の花が植えられているので。いわゆる中庭なのですが、晴れた日はここでご飯を食べたりとかおやつを食べたりとかします

中西アナウンサーと(株)ゆず 作田取締役
中西アナウンサーと(株)ゆず 作田取締役

実は、この施設の大きな特徴はほかにある。
作田さん:
ここは学生さんのシェアハウスで部屋が8部屋あって、今6人の学生さんが住んでいます

介護施設の中に学生のシェアハウス。どういうことかというと…。
作田さん:
介護施設で朝晩のアルバイトをしてもらって、そこで高齢者の方にかかわってもらうことで、1カ月に一定時間以上働けば、家賃・駐車場代・トランクルームの使用料は頂かないようになっています

中西アナウンサー:
Q:かかわった時間分が家賃から引かれるということですか?
作田さん:
かかわった分の仕事の給料はきちんと支払いをしています

つまり、このシェアハウスは学生が介護施設のアルバイトを月に12回以上することで、家賃などは無料。働いた分の給料が支払われるという仕組みになっている。
ゆずのHPでは「学生と高齢者の化学反応が起きる複合施設」と名打っている。

作田さん:
アルバイトは、身体介護といわれる、利用者さんの体に接することは一切なくて、フロアやトイレ掃除や洗い物とかそういうことをお願いしています。利用者さんは若い子が入ってくれると、すごく元気になるので、私たちもうれしいです

施設にはこの他にも、利用者や働く人の事を考えた様々な工夫が…。
作田さん:
ここはいわゆる入居施設ではないんです。在宅が基本で、お宅からここに通って来たりとか、泊まりに来たりとか、お宅に私たちが訪問したりとか、そういうものを組み合わせている。さらに施設には看護機能があるので、医療の依存度が高い人、そういう人が中心になっています

アイランドキッチン、吹き抜けは、人と人との関わりを増やす構造

部屋の中にあるアイランドキッチン。これも工夫の1つ。

作田さん:
お昼ご飯もみんなで作るというのを結構やってます。例えば冷蔵庫の中を開けて「きょうは何と何があるんだけど、何を作る」と話をして「これがあるなら、これを作ろう」という感じで「じゃぁ、そこをお願いしてもいいですか?」みたいな感じ
中西アナウンサー:
本当に家族ですね

施設内にいる子供は職員の子供たち。この施設では職員の子連れ出勤を認めている。

作田さん:
高齢者と子供が交流すると、すごくいい事があって、ご飯を食べる時など高齢者の方が赤ちゃんに食べさせてあげているとか。昔の家みたいな感じですね。それぞれ役割があって、子供は子供なりの役割があって、高齢者を元気にするという役割があったりとか、高齢者は高齢者で子供を守ってあげなければならない、教えてあげなければいけないという役割がちゃんとある。そうするとみんなが、生き生きしています

そして、施設の2階に行ってみると…
作田さん:
ここは認知症のある方が共同で生活するグループホームになっています

グループホームのある2階と1階の間にある「吹き抜け」にも理由がある。

吹き抜けの下のスペースは地域の交流の場として貸し出されることが多いという。

作田さん:
わいわい、がやがや楽しそうにやっている声が下から聞こえてくると、みなさんが何か楽しそうな事やってるなと、ここからのぞいて見て、私も行ってみようかなという気持ちになる。心が動いて行動に出るという構造になっています

中西アナウンサー:
何もなかったら、部屋に引きこもってしまうところを、降りてみようかなというきっかけになるということですね。

この施設は、利用者が人と関わる行動を起こしやすい環境作りに配慮されているところが特徴。
新たに出来た高齢者介護施設は、使う人だけでなく、学生や地域の人にもメリットがあるようにつくられている。

(テレビ新広島)

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