93歳の女性が手がけたイラストを一堂に展示するイベントが、9月12日から愛媛・松山市のデパートで始まった。本格的に絵を始めてまだ数年という女性の、新たな挑戦に取り組む原動力とは。
イラストの作家さんは“93歳”
「愛媛の風景」と題したブースに展示されているのは、黒の筆ペンで淡く繊細に描かれた道後温泉本館や松山城が題材の作品。石鎚山のふもとで風になびく稲穂を、趣味の俳句と共に描いた作品もある。

9月12日から松山三越で始まった「ばあば夢のイラスト展」。これらの絵を手がけたのは、松山市に住む山田久栄さん(93)だ。
山田さんが本格的にイラストを描き始めたのは2020年、90歳の時だ。

山田久栄さん:
独学です。最初はわからなかったから、(江戸時代の画家の)伊藤若冲を見たりね、いろいろ勉強は自分なりにしてみたんですけどね
主に筆ペンを使い、自宅のリビングでその日の気分にあったテーマで「毎日」描き続けている。中には久栄さん自身を描いたイラストもある。

山田久栄さん:
これが私。目がポイントで、その日その日でかわいく描けたり…
母と娘の二人三脚
山田さんが描きためたイラストは4,500枚以上。90歳から毎日イラストを描き続けた。そのきっかけとなったのが「ある人」の存在だった。

山田久栄さん:
このイヤリングが私の方で、幸子ちゃんの時は(イヤリングが)ちょっとハートでね
山田さんと話す娘の幸子さん。実は、元テレビ愛媛アナウンサーの山田幸子さんなのだ。

山田幸子さん:
私がブログを始めようというのに、オリジナリティーがあるものにしたいから、お母さんが普段、らくがき帳に日記書いてて、その日記のイラストが味があったから(ブログに載せた)
テレビ愛媛を定年退職した後、ブログを始めた幸子さん。
「娘が毎日書くブログに花を添えたい…」との思いから、久栄さんは幸子さんのブログに載せるイラストを描き始めた。2020年に始めた親子二人三脚が、2人の日々のモチベーションにもつながっているという。

山田幸子さん:
描いてるイラスト見て、本当に日々良くなって、日々元気になるし、これは私一人で収めているのはもったいないなって
山田久栄さん:
明日は何を描こうかなと思ったりね。今はもう生きがいですね

山田さんの作品には、自身の大好きなハートがちりばめられている。
山田久栄さん:
(ブログで)これがいいと思ったら、ハート(いいね!のこと)がつくんですよ。それが励みになった
「続けていくことに意義がある」
イラスト展初日、会場を訪れた久栄さんにお客さんが声をかける。
イベント来場者の女性:
おばあちゃんそのものが絵になってる感じがします
山田久栄さん:
下手くそなんですけどね。楽しいですよ

イベント来場者の女性:
私も絵が好きなんでね、少しずつ描きよるんですけどね。やっぱり年配になっても、まだずっと描けるっていうのは素晴らしいですよね。これからの目標にします

山田久栄さん:
上手に描けるか分かりませんけど、続けていくことに意義があると思って、頑張りたいと思っております。生きてたらやりたいです、生きてる限り
イラストのハートのように温かい感謝と生きがいをこめて、93歳の挑戦はこれからも続く。
(テレビ愛媛)