SNSなどを通じ若者にも広がっている大麻などの薬物。依存症のリハビリ施設「大分ダルク」では、大麻や覚醒剤といった薬物などの依存症に苦しむ男女10人が社会復帰を目指している。その中には20代の若者の姿も…

若い世代に広がる大麻

大麻を巡っては俳優の永山絢斗被告が所持した罪で9月に有罪判決を受けた。裁判の中で検察は、永山被告が初めて大麻を使用したのは中学2年のころからと指摘した。
また、最近は日本大学のアメフト部や東京農業大学のボクシング部の部員が大麻所持の疑いで逮捕されるなど、若い世代に大麻が広がっている実態が明らかになっている。

依存性や幻覚作用があるほか、「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれていて覚醒剤などほかの薬物への入り口になりかねない薬物の大麻。

13歳で大麻「軽い気持ちで…」

大分市府内町で約30年続く依存症のリハビリ施設「大分ダルク」。
ここには大麻や覚醒剤といった薬物などの依存症に苦しむ20代から50代までの男女10人が社会復帰を目指している。

そのリハビリで欠かせないのが毎日行われるミーティング。
ミーティングは依存症の治療法の1つで、過去の過ちと向き合い参加者全員に正直に話す。過去の自分を受け入れてもらい薬物を断っていくための大切な時間。

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「昔の仲間を見返したいというか、今薬使っていないから胸張って堂々と街中を歩きたいという思いはある」
「最初薬に手を出したのは18だったかな。10代の分別では先のことまでこんなに苦労する自分がいるとかは考えも及ばずに簡単に手を出してしまった」
ダルクの利用者が過去を振り返る。その中には20代の若者の姿も…

「まぁ少しくらいならいいだろうという気持ちで若いころ13、4くらいのころから使い始めて…」
こう話すのは20代の男性Aさん。13歳の時に大麻に手を出し10年以上続けた結果、日常が崩壊した…

大麻依存症からの回復を目指すAさんは
「先輩の家でたまっているところ、たまたま大麻があったというだけで。早いころに使ったから壊れるのも早かったというか、やっぱりドラッグを甘く見ていた。やめたくてもやめられない、暇な時間があったら吸ってしまう」と話す。

人生をやり直そうと1年ほど前にダルクの門をたたき、リハビリに励んでいる。

若者による大麻摘発増加

薬物による摘発は大分県内でも増えている。
大分県警によると去年1年間の摘発人数は106人、そのうち大麻は64人で過去最多となった。大麻で摘発された人のうち約7割が10代、20代の若者だ。
以前は密売人と知り合うなどして購入するのが主な入手ルートだったため薬物の摘発は都市圏が中心だったが、SNSの普及で県内でも手軽に入手できるという。

回復には年単位…サポート続ける

大分ダルクの利用者をサポートする施設長の藤川さんも長年、薬物依存に苦しんだダルクの元利用者。

「僕も薬物依存症で27,8年ぐらい苦しんで服役も2回ほど刑務所に行きました。でも、自分が依存症だってことに気づかなくて使い続けていた。大麻から始まってもっと強い薬物に移行してしまって気づいた時は抜けられない」と薬物依存に苦しんだ過去について話してくれた藤川さん。

藤川さんはダルクに入所し克服、10年ほど前から大分ダルクで施設利用者のサポートを始めた。
薬物など依存症からの回復には年単位の時間が必要だという。
大分ダルクでは、季節のイベントを楽しむなどして利用者に新たな生きがいを見つけてもらうことを目的にサポートを続けている。

「再使用してしまったりする利用者もいるが、そのときにやっぱり受け入れてあげるというか許してあげるというか。排除するの簡単だが、それでは回復していくというのとは違う」と藤川さんは言う。

大麻依存症からの回復を目指すAさんは「やっぱり自分一人の力じゃどうすることもできないのが薬物依存症。1回やったら1000回やっても足りないって思ってて、だから最初の1回に手を出さないように今頑張っている」と話してくれた。

1度はまってしまうと抜け出すことが難しい大麻や覚醒剤などの薬物。
その怖さとは裏腹に手軽にSNSで入手出来てしまう現状がある。その危険性についてもう一度認識することが必要だ。

(テレビ大分)

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