京都アニメーションを放火し、殺人などの罪に問われた青葉真司被告の裁判が来週から始まるのを前に、様々な視点からこの事件を考える。被害者の死因の究明にあたった医師が関西テレビの取材に明かした事件の裏側。そして、今被告に訴えたいこととは。
死因の究明へ…被害者の遺体を解剖した法医学者が語る
4年前、京都アニメーション第一スタジオが放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負った。
殺人などの罪で起訴された青葉真司被告は、取り調べに対し「京アニに恨みがあった」などと供述している。

京都府立医科大学、法医学教室の池谷博教授は、京都アニメーションの放火殺人事件で被害者の遺体を解剖した法医学者だ。

法医学教室では25人の遺体の解剖を担当したが、池谷教授が遺体を見て最初に感じたのは“違和感”だった。
京都府立医科大学・池谷博教授:
一人一人のご遺体を見ると、燃えている人と燃えていない人とか色々差がある。燃えていない人がいて、なぜ燃えていない人がいるのか謎だった。バラバラなんですよね。ひとつの火災現場で発見された遺体と言われても納得できないような印象
事件当日、青葉被告は、3階建ての建物の1階らせん階段付近でガソリンをまき、ライターを使って火を放った。

スタジオでは煙が瞬く間に広がり、放火からわずか1分後には、全体に充満。建物内の温度は100度から300度に達し、避難が困難な状況になっていた。
死因の大半は焼死や一酸化炭素中毒 一方で「窒息」が5人と判明
池谷教授らが死因を調べたところ、焼死や一酸化炭素中毒で命を落とした人が大半を占めていたが、一方で、窒息で死亡した人が5人いたことがわかった。
このうち数人には、逃げようとした際にできたとみられる打撲の痕が複数見つかった。

京都府立医科大学・池谷博教授:
つまづいたりとか、もしくは人が人の上に折り重なっていくというか殺到した際に、後ろに転倒するとかで打撲痕がついたのではないかと推定している。逃げる際の本当に混乱した状況が私たちには見えるような感じで、こんな凄惨な状況だったんだなと感じました
青葉被告の初公判は9月から始まる。8月31日も、証拠や争点を絞り込む「公判前整理手続き」が京都地裁で行われ、青葉被告本人が出席した。

裁判では事件当時の放火の詳細な状況が明かされるとみられているが、池谷教授が4年間、青葉被告に対して思い続けていることがある。
京都府立医科大学・池谷博教授:
被害者がどんな辛い状況にあって亡くなったというのを加害者は知るべきだと思う。火をつけて亡くなった、そういう簡単な言葉で言い表せないと思うんです。被告には自分がやったことを素直に認めて結果に対してきちんと直視して反省する。死ぬから反省しないというのはありえないと思う。だからきちんとやったことを認識することが一番重要だと

裁判で青葉被告は事件にどのように向き合い、何を語るのか。

(関西テレビ「newsランナー」8月31日放送)