日本を代表する祭りの一つ徳島市の「阿波踊り」で、一人20万円の“最高級席”が、建築基準法に違反していたことが分かった。
これを受けて、阿波踊りの実行委員会は、公式ホームページで違反状態で運営を行っていたことを認め、謝罪する事態に。一体何があったのか。

「外付け階段」の幅が足りないまま開催

問題があったのは、2023年から新たに設置された、一人20万円の「プレミアム桟敷(さじき)席」。

一人20万円するという「プレミアム桟敷席」
一人20万円するという「プレミアム桟敷席」
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阿波踊りを正面から見渡せ、地元の料理や酒を自由に楽しめる特別席となっている。

市の建築指導課が検査を行う様子(8月11日)
市の建築指導課が検査を行う様子(8月11日)

これは、開催前日の8月11日の映像。 当時、市の建築指導課が仮設のやぐらの検査を行っていた。そこで、違反が指摘されたのは、桟敷席に上り下りするための、「外付け階段」だ。

建築基準法で定められた基準より、階段の幅や手すりの高さがいずれも10cm足りなかったことが判明。市は改修が必要なことを指摘し、検査済証は交付しなかった。

これを受けて実行委員会は、手すりの高さを修正したが、階段の幅は資材の手配などが間に合わず、修正することができなかった。

そのため、警備スタッフを増員するなどして対応しましたが、建築指導課に報告はせず、検査済証がない違法な状態のまま、12日から14日までの3日間、客を入れてサービスを提供したという。

観光庁“補助金”交付の見直し検討

階段の幅が、基準より10cm足りないことの危険性について、日本大学理工学部精密機械工学科の青木義男教授は、次のように指摘した。

日本大学理工学部精密機械工学科・青木義男教授:
階段を上るお客さんと下りるお客さんが、交互にすれ違うことになる。すれ違いの幅を確保する必要があって、当然ながら、バッグや荷物を持って上がる人や下りる人がぶつかっただけで、場合によっては高齢者やお子さんなどは、転落する可能性が出てくる

日本大学理工学部精密機械工学科・青木義男教授
日本大学理工学部精密機械工学科・青木義男教授

日本大学理工学部精密機械工学科・青木義男教授:
幅の基準を守るということは、非常に大事だと考えられる

実行委員会は、利用者に謝罪した上で、経緯や原因などを確認し、近日中に報告するとしています。

また、新たに観光庁がプレミアム桟敷席など、阿波踊りによるインバウンドの活性化事業に、5500万円の補助金を交付することになっていたことが判明。

今回の件を受け、観光庁は補助金を申請したイベント会社に聞き取り調査を実施。今後必要に応じて、実行委員会にも聞き取り調査を行った上で、交付の見直しを検討するという。

(「イット!」8月29日放送より)

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