天皇ご一家4年ぶりの那須でのご静養について、21日、報道陣の取材に応じた天皇皇后両陛下がまさかのエピソードを明かされた。
寝袋でひと晩過ごした際、斜面を転がるハプニングに遭った話など…当時の状況を思い出しながら楽しそうにお話になる二人のお姿に、愛子さまだけでなく報道陣も笑いに包まれた。

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21日、静養中の那須御用邸で両陛下と愛子さまが取材に応じられた。
取材したのは社会部の宮崎千歳・宮内庁キャップ。約20分間の取材の中では、初めて明かされるエピソードやユーモアあふれるやりとりがあった。

思い出し笑いをされる両陛下

午後6時前の夕暮れ時、御用邸の敷地の中でも比較的標高の高い場所をご家族で散策し、ある思い出話を明かされた。

皇后さま:
あ!そう、ここの上に…。

陛下:
ここの上ね。

皇后さま:
ここの上にテントを。

陛下:
ちょっと上がね。少し斜面で。

皇后さま:
平らなようで、わずかに斜めで。

陛下:
いつごろなのか、だいぶ前になるんですけれども、雅子とちょうどここの上の所にテントを張って、一晩過ごしたことがあるんですけれども。寝袋で。

記者:
え!?宮さま(愛子さま)は?

皇后さま:
まだ生まれる前でした。

お二人でテントを張ったという思い出話になり、このあと両陛下から思いがけない続きが明かされた。

「平らなようで少し斜めな斜面になっていて。寝袋に入ったまま転がって」と陛下が話されると、皇后さまが「転がって行っちゃった」と話しながら思い出し笑いをされた。

その話を聞いた報道陣も笑いに包まれたが、その時一番楽しそうだったのは両陛下だったーー。

陛下が”半世紀”愛用される望遠鏡

思い出話はさらに続いた。

皇后さま:
東京から来ますと、本当に涼しくてびっくりいたしました。

愛子さま:
過ごしやすい気候で。

陛下:
きょうはちょっと曇ってますけど、天気が良いときは星もとてもきれいですから。

記者:
(望遠鏡を)持ってこられましたか?

陛下:
持ってきました。前から使っている望遠鏡。ちょうどこの辺りは星を眺めるのに良いところなんですね。

1974年。陛下が望遠鏡をセッティングされている
1974年。陛下が望遠鏡をセッティングされている

陛下は小学生の頃から星がとてもお好きで、星座の伝説などもたくさん読み、那須を訪れると、ちょうど今回の取材場所のあたりで何度も星空を観察されていたという。

小学生の頃、上皇ご夫妻からプレゼントされた星に関する本を夢中でお読みになっていた様子や14歳の頃、天体望遠鏡をお一人で組み立て、上皇さまと一緒に星空を観察される映像も残っている。

陛下は半世紀近くたった今も、この望遠鏡を大切に使われていて、5年前の映像にも、その望遠鏡が映っている。ご家族3人で今も星空を眺められているという。

陛下の子ども時代からの思い出がたくさん詰まっていて、それが「持ってきました(笑)」という先ほどの笑顔につながっているとみられる。

そして、星空の話にもまだ続きがあった。

皇后さまが陛下に優しいツッコミ

陛下が「ヘール・ボップ彗星が見られたんですよ。こちらで」と右側の空の方向を示されると、皇后さまが「こちら側」と逆の方向を示された。

すると陛下は「ああ!こっちか!こちら側だったね」と笑い出され、それに対して皇后さまも「本当にもう」と陛下と顔を見合わせ、笑いがこみあげられていた。

そのやりとりに、愛子さまだけでなく側近や報道陣も笑いの輪に包まれた。

6月に結婚30年を迎えられた両陛下は、これまで夫婦円満の秘訣として共に「笑いやユーモアを忘れない」こと、さらに陛下は「自分が間違っていたと思ったら素直に謝る」ことを心がけてこられたという。

愛子さまのユーモアにも笑い

このように笑いの絶えない家庭で育った愛子さまにも、ユーモアあるお姿があった。

皇后さま:
色々体を動かしたり…。

愛子さま:
豊かな自然に触れながらリフレッシュできればなと。そして、大学、残り半年…、残り半分、色々なことに取り組んでいけたらなと思っております。

愛子さまの直接取材を宮崎記者が行うのは春以来。4月5日の御料牧場では長い髪をカールされていたのと比較すると、今回かなり短くカットされている。

宮崎記者が「涼しやかになられましたね」と述べると、愛子さまは笑顔で「気付いていただけましたか」と髪に手を添える仕草をされた。多くの人が学生時代に友達としたであろうやりとりを思い出させる自然体な仕草だった。

そして愛子さまは「35~36センチくらい切りました」「軽いです。切った時はもう“首が据わらない”って」と首を抑えるようなユーモアたっぷりのジェスチャーをされ、両陛下も報道陣も笑いに包まれた。

20分ほど笑いの絶えないお話が続き、天皇、皇后としてではなく、”リラックスした家族のお姿”で報道陣に接してくださった両陛下と愛子さま。

今年4月の御料牧場では、両陛下がお互いの頭を軽く「ごっつん」される場面もあった。
静養中の取材機会について、ある側近は「素顔を知っていただくのも良いのではないかと考えられていると思う」と話している。

自然体な笑顔でエピソードを明かされるのは、皇后さまが徐々に回復に向かわれているからこそでもあり、素顔で接して下さる背景には、共に歩む国民を信頼し、心を通わせようというお気持ちがあるからではないか。

両陛下と愛子さまは9月初旬まで、那須で静養される予定。

(「イット!」 8月28日放送より)