24日、いよいよ始まった福島第一原発の処理水“海洋放出”。漁業関係者からは不安の声も聞かれる中、関西の街の人はどう感じているのだろうか?
西村経産相「人や環境に与える影響はほとんどない」
街の人:
ものすごく薄めて薄めて放出するって話を聞いてますので、大丈夫かなと思ってるし。風評被害で“買い控え”とかになったら福島の人たちも大変やなと思う。
街の人:
(福島県産を)たまに見て、だからってやめとこうとはならないですね。むしろ買いたいみたいな。

23日、西村経済産業大臣は処理水の海洋放出を前にこう語った。
西村康稔経済産業大臣:
私どもの対応は国際基準に合致しているということ、また、人や環境に与える影響はほとんどないということで結論付けられています。ぜひこれからも変わらず、この三陸常磐物を取り扱いしていただくよう、心からお願い申し上げたいというふうに思います。
一方で、スーパーなどでつくる日本チェーンストア協会は、政府に対し積極的な情報発信など、安心して購入できる環境づくりを求めた。

大阪市内のスーパーでは、24日も福島県で水揚げされた海産物が並んでいた。
スーパーの来店客:
まったく気にしないって言えば…ちょっと難しい問題かなと思いますけど。やっぱり応援はしたいなとは思っています。
スーパーの来店客:
漁師さんもつらいやろうし、でも生活かかってるし、もう10何年になるしなあ。反対やったら買えへんしね。気にしてない。

アオイサポート・内田寿仁社長:
政府もIAEAも全く問題がないというふうにおっしゃっておられますので、私たちも基本的には販売を制限するつもりもありませんし。いい魚があれば福島産でも仕入れていきたいなと思っております。
未曽有の原発事故から12年以上がたち、ついにはじまった処理水の海洋放出。福島の海産物に関わる人たちにとってはこれからも苦悩が続く。
処理水放出 政府、メディア、消費者に必要なことは?

東京電力は、処理水全134万トンを30年かけて海洋に放出し、24日からいったん17日間で約7,800トンを放出するということだ。

西村経済産業大臣は、海域の放射性物質の状況を調査するモニタリングデータについて、早ければ25日の夕方以降、全てオープンにして、透明にデータを公表していくとしている。
海産物を購入する方は、こういったデータを見て判断して、購入につなげられるようにするため、データの公表は不可欠だ。
番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は、「政府の発表も必要ですが、政府の発表は必ずしもいつもみんながアクセスしているわけではないので、その間に立つメディア、マスコミ、テレビ番組などが、積極的に政府と消費者を結ぶ情報を流通させるように励んで、みんなが安心して福島の物を食べられる環境を作ってもらいたい」と話した。

海洋放出には30年ほどの長い期間がかかるとされているが、今後どういうことが大事になってくるのだろうか。
10年以上にわたって福島の海の放射性物質の変化について研究されている福島大学の高田兵衛准教授によると、「モニタリング調査の徹底と継続的なデータ公表」が大事だということだ。
さらに「基準値を超えるなど不測の事態が起きた時の対応 データ公表や迅速な説明」が求められると話している。

関西テレビ・神崎報道デスク:
データを誰でもいつでも見られるようにしておくのが、非常に大事なことだと思います。あと消費者がどういうふうに福島県産の海産物を捉えるかです。風評被害はある種消費者の心の問題かと思うので、やっぱり政府を含めてアピールしていって、安全で安心なんだよと広く知らせることが大事なのかなと思います。
消費者のためにも、漁業関係者の皆さんのためにも、政府の対応にこれから期待していきたい。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月24日放送より)