2023年8月19日午前、鹿児島市郊外で31人が乗った大型バスが横転し、乗っていた男子高校生10人が重軽傷を負った。現場は大型バスが通れない狭い道路。運行会社社長は「運転手が道を間違えた」と話しているが、一体何が起きたのだろうか。

大型バスが横転…高校生10人がけが 3人は重傷

事故が起きたのは8月19日午前8時半ごろ。鹿児島市春山町の県道で、鹿児島市から日置市方面に向かっていた大型バスが横転した。

バスには、霧島市の鹿児島県立国分高校のサッカー部の生徒30人と運転手1人のあわせて31人が乗っていた。けがをしたのは男子生徒10人で、このうち3人が腰の骨を折るなど重傷を負った。

この記事の画像(14枚)

バスの運行会社によると、バスを運転していた男性(62)は「道を間違えた」と話しているという。

事故当日のバスの運行ルートは次の通り。

霧島市の国分高校で生徒らを乗せたバスは、南九州自動車道の伊集院インターチェンジで一般道に降りた。

予定では、日置市の吹上人工芝サッカー場に向かう予定だったが、バスは道を間違えてしまい、事故が起きた。走ってきたバスは、まっすぐ進むべきところを、左に曲がってしまったという。

この、誤った道を進むと「4トン以上の車は通行禁止」という標識がある。事故を起こしたバスの重量は、通行制限を大きく超える約13トン。さらに、片側1車線の道路を進むと、センターラインもなく、車同士がすれ違うのが難しいほど狭くなっている。

バスにカーナビはなく、バス会社の社長と運転手は運行前日と当日、地図でルートを確認していた。

運行会社によると、事故を起こした運転手は2022年にこの会社に入社したが、大型車の運転歴は15年ほどで、当初予定していたルートを通った経験もあったという。

会社では、道を間違えた場合、即座に停車して元のルートに戻るように定めているとしているが、今回はこの手順が守られていなかった。

バスの運転手は「もう少し走れば広い道に出るのではないかと思った。頭が真っ白になった。なんでこうなったかよく思い出せない」と話しているという。

「到着時間が気になり動揺してしまった」

23日、警察の家宅捜索が行われた
23日、警察の家宅捜索が行われた

8月23日朝、バス会社に警察の家宅捜索が入った。警察は過失運転致傷の疑いなどで捜査していて、今回の家宅捜索ではバスの運行管理や運転手の健康管理に関する資料などを調べたとみられる。

国交省・九州運輸局の監査官らも監査に
国交省・九州運輸局の監査官らも監査に

また同日、国交省・九州運輸局の自動車監査官ら3人が監査に入った。九州運輸局は監査結果を精査し、行政処分の必要性などについて判断していくという。

これを受け、24日にバス会社が会見した。本村雅樹社長は「学校関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした」と謝罪し、事故の経緯などについて説明した。

九州みやび観光・本村雅樹社長:
運転手から、到着時間が気になり気持ちが動揺してしまい、「もう少し先に行けば、う回路か、(日置市)吹上町に抜ける道があるのではと考えた」と報告を受けた。無線、携帯電話がつながらない所に行った場合はただちに止まり、状況を確認するというのを、乗務員に徹底して教育したい

過去3回行政処分を受けていた

過去10年で3回の行政処分を受けている「九州みやび観光」
過去10年で3回の行政処分を受けている「九州みやび観光」

九州みやび観光は23日、国分高校で行われた保護者説明会でも保護者に対する謝罪や説明を行った。九州みやび観光は、運転手に対する指導や教育が不十分だったとして、過去10年で、九州運輸局から3回の行政処分を受けている。

今回の事故を受け、バスにカーナビを設置するなど、再発防止に努めるとしている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。