アメリカ・ニューヨークで心臓移植をした1歳の佐藤葵ちゃんの父親・昭一郎さんが18日、手術後初めて取材に応じ、心境を語った。
「ようやく最初のゴールが達成できたかなというところで、本当に関わったみなさんにありがたい気持ちと、達成感と安心感、という感じです」

病院側からドナーが見つかったと連絡があったのは渡米してから4カ月あまりの8月11日。
実はその1週間前に別のドナーの候補があらわれたのだが、結果的に適合せず、今回うまく手術までいけばいいなという気持ちだったという。
手術は翌12日に行われた。
「手術が始まれば、祈ることはしていましたけれども、我々にはどうしようもない部分が多いので…成功をずっと祈っていました」
6時間の移植手術が無事終了し、「経過がとても良好だ」との連絡を受け、やっと安心できた。

昭一郎さんと妻・清香さんは最初のコメントを公表した際、ドナーへの気持ちを最初に綴った。
「まずはじめに、葵に命を与えてくださいましたドナーのお子様のご冥福を心よりお祈りいたします。そして深い悲しみの中、ご決断くださったご家族の皆様へ、深く感謝申し上げます」
そのことについてたずねた。
「もちろん移植をするということは、心臓を提供していただけるドナーさんがいてのこととわかっていたのですが、実際にその時がくると、よりリアルにそれが思われるというところで・・誰かが亡くなるという経験があって、我々のところにドナーさんの心臓がくるということでかなり複雑ではありました」
手術は無事終了したが、葵ちゃんの回復にはまだ長い道のりが待っているという。
「心臓移植手術の場合は免疫抑制剤を一生飲み続けなければならないのと、気をつけなければならないことも多いので、親として管理しつつ、楽しく元気いっぱいに成長してもらえるような育児をしていきたいなと思っています」「みなさまのおかげであることは間違いなく、本当に心から感謝しています」
支援者や応援してくれる人には感謝の言葉が尽きない。

手術前の葵ちゃんは、看護師から英語で話しかけられると「オッケー」と答えたり、「ワン、ツー、スリー」などと英語で数字を片言で話せるようになっていたという。
9月には退院できる見込みで、半年ほどは現地で通院生活が続くが、順調にいけば来春頃には家族そろって日本に帰国できる日が訪れそうだ。