福岡・篠栗町のとある古民家。室内はリノベーションされていて、和モダンな空間が広がる。この一軒家は2023年7月にオープンしたばかりのシェアハウスなのだが…出迎えてくれたのは、尻尾までフワフワな毛並みの「ネコ」だった。

ネコが物件に付いている?

篠栗町の「ねこ長屋」は、家具付き物件のようにネコが物件に付いている、ちょっと変わったシェアハウス。

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共用部であるリビングの壁にはキャットウォークが設置されていたり、床の間が爪とぎになっていたりと、ネコたちがのびのびと暮らせる工夫がちりばめられている。

「ねこ長屋」入居者第1号の岩瀬さん:
すごい人なつっこくて、膝の上に乗っかってきます。あ、ここにいますね「ちゃちゃ丸」が。顔がキリっとしているんですけど、ツンデレで甘えん坊なんですよね

「ねこ長屋」の入居者第1号の岩瀬さん。ネコ2匹と暮らし始めて半月がたった。入居の決め手は、やはり「ネコ」だった。

「ねこ長屋」入居者第1号の岩瀬さん:
決め手は、もう、ネコがいることですね。転勤が決まって保護ネコを飼う予定だったんですけど、ここを見つけてからは「ここがいい!」と思って、ここに決めました

大阪から福岡への転勤を機にネコを飼うことを決めていたという岩瀬さん。しかし、1人暮らしでは留守番をさせてしまう時間が長くなるため思い悩んでいたところ、この「ねこ長屋」を見つけ、すぐに入居を決めたと話す。

「ねこ長屋」入居者第1号の岩瀬さん:
もし、1人暮らしで出張とかになったときも、毎回ペットショップとかホテルとかに預けないといけないじゃないですか。ここだとシェアハウスで、いろんな人が見てくれるので、旅行でも、いつでも好きな時に行けるのがいいなと思って選びました

ネコ付きシェアハウスのメリット

現在入居者は岩瀬さんしかいないため、エサやりやトイレ掃除など毎日の世話を1人で行っているが、入居者が増えれば当番制になるという。

さらに、エサ代などネコに関わる費用は管理費に含まれていて、不動産会社が手配してくれるというのだ。

また、もうひとつネコ付きシェアハウスならではのメリットが。「こんにちは~。おじゃまします」と訪れたのは、シェアハウスを管理している不動産会社のスタッフ。

「南進住宅」廣田左希子さん:
ちょっと、ミキちゃんの調子が悪いということで、念のために病院に連れて行こうと思います。じゃあ、ミキちゃん、病院に行きましょうね。はい、おりこうさん!

スタッフのサポートが手厚く、ネコが体調を崩した時の通院や予防接種などは管理会社が行ってくれるのも入居者にとっては安心できるポイントだ。

2つの社会問題を解決へ

ネコと暮らす体験ができる福岡初のシェアハウス。現在「ねこ長屋」は福岡市南区の大橋と篠栗の2カ所。家賃は5万2,000円~とシェアハウスにしては高額だが、大橋の方は予約待ちになるほど人気だという。
この取り組み、実は2つの社会問題を解決に導くシェアハウスなのだ。

「南進住宅」廣田左希子さん:
年間でいろいろなネコたちが、たくさん殺処分されているという現実がある中で、シェアハウスで保護ネコたちと一緒に過ごせるような空間とか環境が作れたら素晴らしいなと思って

環境省によると、令和3年度のネコの殺処分件数は約1万2,000件。「ねこ長屋」では多頭飼育崩壊で行き場の無くなったネコや保健所に保護されたネコなどを引き取ることで、殺処分される頭数を1匹でも減らそうというのだ。

そして、もうひとつ。

「南進住宅」廣田左希子さん:
風情あふれるお家、日本家屋を大切に使っていくことで、空き家問題にも少しずつ微力ながら手助けができたらなと思っています

福岡県内でも年々深刻化している空き家問題。住む人がおらず、使われていない空き家を買い取り、シェアハウスとして活用することで、地域の課題解決にもつなげていきたいと話す。

「南進住宅」廣田左希子さん:
一棟増えれば、ネコたちの命も、その分、救うことができるので、福岡以外の場所にも丁寧に一棟一棟作っていければと思います

ネコと人、双方にメリットがあるシェアハウス「ねこ長屋」。社会の課題を一挙に解決する施設として期待が集まる。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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