ガソリン価格の高騰が止まらない。8月9日に発表されたガソリンの店頭小売価格は12週連続の値上がりとなり、ついにレギュラーガソリンの1リットルあたりの全国平均が180円を超えた。180円台となるのは15年ぶりだ。

店頭小売価格は12週連続値上がり

ガソリンの店頭小売価格は、経済産業省が毎週月曜日に調査を実施し、その結果が2日後の水曜日に発表される。

ガソリン店頭小売価格の推移
ガソリン店頭小売価格の推移
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直近の8月9日に発表された価格に目を向けると、レギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均が消費税を含めて180円30銭、静岡県の平均は180円10銭で、全国・静岡ともに12週連続の値上がりとなった。180円台に突入したのは15年ぶりの出来事だ。

過去1年間の推移を見てみると、ゴールデンウィークが明けた5月中旬から価格の上昇が始まり、静岡は12週前の5月15日と比較すると14円10銭の値上がりとなっている。

価格高騰の裏には3つの要因

ガソリン価格の高騰は、主に3つの要因があると言われている。

ガソリン価格高騰の要因
ガソリン価格高騰の要因

石油情報センターなどによると、その1つがガソリンの元となる原油価格の高止まりだ。2022年2月にウクライナ情勢で原油価格が一気に跳ね上がり、最近は急激な上昇は見られないとはいえ、ロシアの輸出規制やアメリカの好景気などが影響し、まだ高い値で推移している。

そして2つ目が為替の動向だ。円安が続く中、原油はドル建てで取引されるため、円安が進めば小売価格にも当然反映されてくる。

さらにガソリンや軽油などの燃料油に対する政府からの補助金をめぐる動向が3つ目の要因となっている。この補助金は、新型コロナ後の経済活動を下支えするために2022年1月に導入された措置で、ガソリンの場合、現在1リットルあたり9円10銭の補助金が出ている。

ただ、政府は2023年6月から2週間ごとに補助率を10%ずつ下げていて、9月末には補助金制度を終了する予定となっている。この補助金の削減が、ガソリン価格の高騰の最も大きな影響を与えていると言われている。

生活に直結するガソリン価格の高騰
生活に直結するガソリン価格の高騰

原油価格が高止まりし、円安傾向も続いている中、政府はなぜ補助金を減らすのか?1つには予算上の問題がある。燃料油に対する補助金予算は約6兆円に上っていて、いつまでも続けるわけにはいかないという背景がある。

また、もう1つは今の政府が“脱炭素”を推進している中で、二酸化炭素を排出するガソリンに多額の予算をつぎ込むという「大きな矛盾」を解消するのが主な理由だ。

専門家に聞く いつから下落傾向に?

では、ガソリン価格はいつ頃に下落へと転じるのか?静岡経済研究所の恒友仁専務理事は「アメリカと中国が二大要素になる」と指摘した上で、「アメリカ経済が減速するタイミングが『2024年に入ってから』と言われているので、原油に対する需要の減速も2024年に入ってからとなり、ガソリン価格が下がるとしても2024年に入ってから」と予測する。

ガソリン価格の動向は物流なども含めて国民生活に関わるだけに、最終的には政治判断になるが、岸田政権が内閣支持率を気にするとすれば、10月以降の補助金延長の可能性は十分にあり得る話だ。

(テレビ静岡 特別解説委員・永井学)

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