香川・高松市の「サンポート高松」を歩いて楽しめるエリアにしようと、香川県が8月2日から車の通行を規制する社会実験を始めた。観光や省エネの観点から注目される実験だが、生活への影響が大きく理解を広げられるかが鍵となる。
歩行者天国で“社会実験”
前川裕喜記者:
道路の上の連絡橋から見ると、片側2車線の道路が1車線規制され、本来まっすぐ進めるところが通行止めになり、車がUターンを強いられている

JR高松駅北側の市道は約100メートルにわたって歩行者天国となっている。

歩行者天国の利用者:
ここで食べて、風が気持ちよく、もっとおいしく感じられた

歩行者天国の利用者:
歩行者天国だと安全だし、観光客や外から来る人にとってはいいと思う

キッチンカーがならび楽し気な雰囲気の一方、通行する車にとっては負担となった。

JR高松駅北側の市道は8月6日も午前7時から午後6時まで歩行者天国となる予定。同じサンポート高松では、県立アリーナ建設地北側の片側2車線の市道も、8月2日から6日まで約300メートルにわたって1車線化している。いずれも規制にともなう車の流れを見るのが目的だ。

香川県都市計画課・奥村武課長:
周辺交通への影響がどう出るか、調査して分析したい

サンポート高松では2024年に新しい商業ビル、2025年に県立アリーナ、徳島文理大学の新しいキャンパスなどが次々にオープンする。

県はこのエリアでさらなるにぎわい創出のため、2023年度に検討会議を設置。そこで注目したのが、全国各地で検討が進む「車道を減らして歩行者の空間を充実させる政策」だった。

香川県都市計画課・奥村武課長:
にぎわい創出のため、人が戻ることが重要。快適に回遊でき、歩ける状況を作ることが重要

こうした政策は省エネに貢献し、7月のG7香川・高松都市相会合で示された持続可能な都市にもつながる。
実験進むも…車の利用者は「不便」
しかし車を利用する県民生活への影響は大きく、懸念の声も上がった。

車の利用者:
この辺は車で運転するので(規制は)不便。駐車場もないし気軽に止めて歩けるようになればいいと思う

香川県都市計画課・奥村武課長:
周辺住民への影響があるので合意形成を丁寧にして、高松市とも一体となって進めたい
県は23年10月ごろに再び検討会議を開き、社会実験の結果を踏まえた今後の対応を議論する。
アフターコロナや持続可能をテーマにした新しい都市政策は、今後のまちの姿を決めるものとなりそうだ。
(岡山放送)