岡山県を走る国道2号は、中国地方で最も交通渋滞が激しいと言われている。
そうした中、交通渋滞の解消を目的に、岡山市西部を縦断する岡山西バイパスを高架にする工事が6月11日に着工した。このことに、ネット上では「渋滞解消は期待できない」というコメントが寄せられた。
疑念の声はどうして上がるのか?岡山西バイパスの高架化で、渋滞は本当に解消するのか検証した。
“高架の本線”完成で渋滞緩和に期待
交通網を麻痺させる渋滞。岡山市西部を南北に走る岡山西バイパスも、日々、車の長い列ができているため事故も多発。カメラの前でもあわやというシーンが見られた。

この渋滞解消を目的に、道路を高架にする工事が始まる。

リポーター:
現在の岡山西バイパスは側道なんです。道路の間に広がる広大な空き地に、高架の本線が作られます

岡山西バイパスは元々、側道と高架の本線の4車線で計画され、側道が13年前に先に開通。高架の本線の工事は6月11日にようやく3.5kmの区間で始まった。

この区間は国道180号、通称・新幹線側道、通称・旧2号という交通量の多い3つの道路と交差するため、渋滞が常態化。高架にすることで平均時速は時速16kmから60kmにスピードアップすると予想されている。
「渋滞を緩和する環状道路」なぜ渋滞スポットに?
そもそもこの道路は、市内中心部への車の流入を抑え、渋滞を緩和する環状道路の一部として作られた。にも関わらず、なぜひどい渋滞スポットになってしまったのか?岡山国道事務所で聞いてみた。

岡山国道事務所計画課・堀口和希課長:
大型の商業施設や市民病院が側道の開通後できた、沿線環境の整備が進んだ

13年前の側道開通で交通の便が良くなり、沿線の商業施設が増加。北長瀬駅前には新しい市民病院もでき、道路の建設効果を上回る交通の集中があったと言える。
バイパスとは本来、混雑を避け車の流れをよくするための道路だ。渋滞スポットになったのは、側道だけが開通したからとみられている。

都市交通が専門 岡山大学・橋本成仁教授:
側道ができて本線ができていなかったので、バイパスというより沿道の活動が活発になった
橋本教授は「沿道が目的地になってしまった」と話す。
側道は「渋滞解消に役立っているはず」

一方で「西バイパスにあれだけ交通量があるという事は、岡山市中心部の渋滞解消に役立っているはず。都市全体のバランスが変わっている」と話す。
高架によって車の流れは変わるのだろうか。ただ、完成時期は未定となっている。
(岡山放送)