富山市で“トマト嫌い”な若者たちがクラウドファンディングを使ってミニトマトの栽培や販売を始め、新しい農業の形として注目されている。合言葉は「農業をもっとファッショナブルでカッコイイものに」。どんな挑戦なのか取材した。

“祖父の他界”から農業を意識

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2022年に若者たちが立ち上げた農業法人「呉羽(くれは)」の、ミニトマトを栽培するための農業用ハウスが富山市八ヶ山にある。

代表を務めるのは角裕太さん(33)で、役員は幼馴染の庄司直也さん、庄司真也さん兄弟。
代表の角さんの家は祖父の代からトマト作りをしていて、祖父が亡くなったことを機に庄司さん兄弟に声をかけ、農業を継ぐことになった。

呉羽・角裕太代表:
祖父が2014年に他界して、その時の葬儀の参列者の数だったり、外国の方や若い方が来ていたりしたのを見て、トマト1つでこんなに愛されていたんだなっていうところで、祖父が亡くなってから初めて尊敬できた部分がある。そこからずっと農業について意識するようになって

目指すのは「ミニトマトっぽくなさ」

と言っても、実はこの3人には“ある問題”が…。

ーー3人の共通点は?

3人:
ミニトマトが嫌いなことです

庄司直也さん:
現在も嫌い

呉羽・角裕太代表:
同じく、生まれてから今まで、今も嫌い

庄司真也さん:
同じく、今も昔も嫌い

幼いころからずっと嫌いだったトマト。農業は「暑くてきつい」仕事だと思い、絶対やりたくないと思っていたという角さんは、農業を始めるにあたり「『農業はきつい』仕事なら、もっとファッショナブルでカッコイイものに」と発想を変えることにした。

「トマト嫌いな自分たちが食べておいしいと思えるようなトマトなら売れるのでは」と考えて、何種類ものミニトマトを栽培し、自分たちが食べておいしいと思える3種類に絞り込み、出荷できるまでになったのが「呉羽キャンディ」だ。

呉羽キャンディはフルーツのような甘みが特徴で、糖度は10.2度。イチゴに匹敵する甘さだ。

そんな呉羽キャンディの摘み取りの基準は?

呉羽・角裕太代表:
判断基準は「ミニトマトの味がするかしないか」っていうのと、ちゃんと甘いか

ーーミニトマトの味がしない方がいい?

呉羽・角裕太代表:
そうですね、僕らが嫌いなので(笑)。どちらかというと、ミニトマトっぽくなさを追求している

“呉羽キャンディが持つ可能性”の追求

農家の概念を変えようとクラウドファンディングにも挑戦し、トマトを使ったイベントや収穫体験で自分たちも楽しみながら農業の魅力を発信することにした。

呉羽・角裕太代表:
日本全国どこへ行っても呉羽キャンディを手にする機会が多くなればいいなと思う。農家という枠を超えて、いろいろな産業の方やいろいろなアーティストの方だったりとか多岐に渡る方とコラボレーションして、僕らの色やその人たちの色をどう呉羽キャンディで表現できるかを追求していきたい

トマト嫌いの3人が作るミニトマトは今後、どのような農業の形になっていくのか。
可能性を追求する若手農家の挑戦は続く。

(富山テレビ)

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