自民党大阪の改革、候補者差し替えの狙いやその本気度、さらに維新とどう戦っていくのかなど、自民党大阪府連・谷川とむ会長に聞いた。
ズバリ聞く「なぜ大阪の自民党は弱体化した?」

なぜ衆院選候補者を差し替えるような改革が必要なまでに、大阪の自民党は弱体化したと感じているか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
分析をするんですけれども、難しいところ。維新は身を切る改革、例えば定数削減、そして教育の無償化など、大阪府民の皆さんが共感できるような政策をどんどん打ち出して、一定程度評価もされて、実現してきたところがあります。

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
一方で自民はなかなか大阪の未来予想図を府民の皆さんに提示できなかった。国会の野党のような存在で、維新に対して反対、反対みたいなイメージがついて、なかなか選挙で自民の支持者が維新のほうになびいていったのではないかという風に思います。また吉村さんは、本当に全国的にヒーローみたいな形になっていますし、マスコミの露出も非常に多いということで、我々が何をやってどう立ち向かっていくか、いい方策が作れてこなかったのが原因ではないかなと思います
「差し替え」の基準が不明確だと言われるが…
総務副大臣も経験した前衆院議員の佐藤ゆかりさんが政治家引退を表明した。2014年に「縁も“ゆかり”もない」大阪11区から当選した佐藤さんだが、「党本部と私たちの思いに溝がある」とし、政治家引退を表明するに至った。
佐藤さんの引退、そしてこの発言をどう受け止めているか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
政治家の出処進退は自ら判断されるものだと思っています。「党本部と私たちの思いに溝がある」という経験を私もしているんです。2005年郵政解散の時に、私の選挙区である大阪19区や大阪府連で正式に機関決定をして、私の公認を党本部に申請しました。しかし残念ながら違う人が公認となって、私は出馬することもできませんでした。その時に地元でもめましたけれども、地元泉州の皆さんと約束をしたことを実現するために、私はずっと思い続けて、2014年に初当選させていただきました。10年かかったんです。諦めずにずっと一生懸命活動していたので、今多分ここにいるんだろうと思います。

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
佐藤先生は違う判断をされたのかなと思うだけです。政治家は出処進退を自身で判断するものなので、私からは特に思いというか、コメントもありません

元外務副大臣の中山泰秀前衆院議員も怒りの反論をしている。「小選挙区で連続落選もしていないし、党員確保もできている。差し替えはルール違反だ」と反論している。中山さんは過去に小選挙区でも勝っているのになぜだと言っている。ちなみに谷川さんは3回連続比例での復活当選で留任となっている、このあたりどうお考えなのか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
確かに力不足で、私は3回連続比例復活ということです。地元の皆さんにもつらい思いをさせているなと思って、少しでも期待に添えるように一生懸命活動してるのが現状です。
一方で、全国の選挙区を見渡しても野党の代表の方や党首と戦ってる方もいらして、なかなか小選挙区で勝てない選挙区もありまして、特例ですけれども4回でも5回でも比例で復活をしていることはあります

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
今回のように差し替えで強敵に勝てるかというと、難しいところがあるんですが、大阪はやっぱり全国の選挙区から比べても異常なまでの維新の強さがあるので、私も複雑な気持ちですけれども、劇薬的にこのような対応を党本部がとった。自分自身もしっかりと頑張っていかないといけないとい思います。
今回、情勢調査また実態調査、そして日々の活動等を総合的に勘案して、党本部が判断をしました。私からも再考を願って上申をしたんですけれども、その決断は覆らなかった。前の選挙から約2年たちますが、情勢は刻々と変化しています。自民党にとって非常に厳しい状況が続いていると。それを総合的に判断をしたのが党本部ということです。僕も複雑な気持ちでしんどい思いですけれども、党本部の判断に委ねざるを得ないと

事実上の更迭である差し替えをされた方と、留任された方とがいますが、差し替えの基準がはっきりしないと言われている。
差し替えは自民党が候補者を立てる予定の大阪府内15区のうち、10区で行われる。その基準として、前回、維新に全敗した衆院選での惜敗率(当選者の得票数に対する落選した候補者の得票数の割合)があげられている。留任した大阪1区の大西さんは、差し替えとなった佐藤さんや中山さんより惜敗率が低くなっている。これはどう説明されるのか?

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
6月に情勢調査を党本部がやりました。どれだけ維新とのポイント差があるかというような調査をしました。また実態調査もして、候補者がどれだけ地元に根付いているか、活動しているかということも総合的に勘案をしました。2年前の惜敗率と、6月の情勢調査ではひっくり返っているところがあります。それらを総合的に勘案して、たぶん党本部は差し替えしないまたは公募すると判断をされた。2年前とは全然違うということです
過去の実績に関しても加味する動きはあったのか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
みんな仲間ですから、やっぱり気持ちもありまして、これまで党のためにどれだけ貢献してきたかということは党本部もしっかりと見ていただいていた、その上でこのような判断をされたと思います。非常に調査結果の数字も悪かったですし、維新が非常に強いんです。この辺が我々にとっても判断を受け入れざるを得なかったかと思います

15の小選挙区のうち10で公募となりました。全て差し替えるという選択肢はなかったのか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
いろいろいと意見がありましたけれども、現職優先というところもありますし、また「ここはAさんが頑張ってやっと根付いてきた。次もう1回チャンスを与えればいい勝負をできるんじゃないか」というところをわざわざ公募する必要はないという判断がありました。僕ら現職もはかりにかけられていました。もし自分の選挙区が公募の対象だったら、応募して選ばれる自信はありました
「自民党を推して良かった」と思えるような政策を打ち出したい
地元の自民党議員からはどんな声があるのか?
関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:
大阪の自民党所属の方に伺うと、仮にいい人が来たとしても、本当にその人が勝てるのかとか、これまで応援してくれた方が離れていってしまうのではないかといった不安の声が聞かれました。印象として自民党といえば“地盤”“看板”を大事にして、世襲も強みにして出馬するという印象があります。本当にゼロベースにしてしまって大丈夫なのかと思うのですが、どうなのでしょうか?

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
そのような懸念は僕もあります。郵政解散の時、自民党の皆さん、「もうやめる」「無所属で出てほしい」だのいろいろありました。 ただもう一度チャンスがあるのであれば必ず戻ってきますと約束をさせていただいて、ずっとやれば皆さん自民党が根っから好きなんですよね。だからずっと地元を守っていただいて、僕を迎える体制を作っていただいたので、僕は絶対に報いないといけないと思っているので、今一生懸命頑張っているんです。今回そういう懸念があって、府連会長として先生方と各地域支部の皆さんには丁寧に説明をして、理解をいただきたいと思っています。支援者が離れることは怖いですね

ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。
ーー維新より良い政策を出してくれれば…胸張って言える案はありますか?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
今、政策を考えて、議論に入っています。身を切る改革、定数削減とか教育無償化とか、やはり府民の人たちから共感を得ていることもあります。教育の無償化について我々もしっかりと進めていかないといけないと思っていますけれど、「newsランナー」でも生討論していましたが、私学連や保護者の皆さんから私学の無償化について異を唱えていることもあります。我々としてどういう形で無償化を実現できるかということをこれから考えていかないといけないです。

自民党大阪府連 谷川とむ会長:
身を切る改革っていうのは、パイの中から無駄を削減していかないといけないんですけれど、そこから増えていかない。だから我々は大阪の経済をどんどん膨らましていって、好循環をもって、雇用されている方々も賃金が上がっていくような、責任ある積極財政を推進していきながら、大阪を豊かにしていくというような形で、これから候補者・支部長が決まってから、地域の声もしっかりと聞かせていただきながら、総合的に大阪の未来予想図というものを、自民党が変わって大阪も変わっていくんだっていうような期待感が持てるような政策を、しっかりと打ち出していきたいと思います。今のこの段階でこういう政策ですよっていう風には言えないんですけども
「未来予想図」と言うが、自民党ならではの新しい未来を出せるのか、改革が自民党の内部でしっかりと後押しされるのか、そこを注目されてると思われるが?
自民党大阪府連 谷川とむ会長:
まさしくそうだと思います。我々こそが真の改革者であるというような形で、本当に生まれ変わらないといけない。文句やぐちばっかり言ってても仕方がないので、大阪の未来のために、大阪府民の皆さんが共感して「やっぱり自民党を推して良かったよね」と思えるような政策をしっかりと打ち出していきながら、1つ1つ実現して行動していきたいと思っています

自民党大阪府連の谷川とむ会長は番組で以上のように話した。
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月18日放送)