「スイミー」「スーホの白い馬」「手ぶくろを買いに」「ごんぎつね」…。これらの作品が学校の教科書に載っていたことを記憶している人もいることだろう。

そんな、自分が使った思い出の1冊を検索できるコンテンツを、光村図書出版(東京・品川)がサイト上に公開した。

同社は約20年前から、過去の国語の教科書などが収録された「教科書クロニクル」というコンテンツを掲載している。新たに7月7日から、「わたしの教科書検索」という機能を追加した形だ。

生年月日から“小中学時代の教科書”を検索

「わたしの教科書検索」では、生年月日を入力すると小中学校の入学年に起きた大きなニュースに加え、小学校1年生から中学校3年生までに使っていた同社発行の国語の教科書の表紙と、主な作品タイトルや作者名が一覧で表示される。

(出典:光村図書出版)
(出典:光村図書出版)
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収録しているのは、小学校の教科書だと昭和46年度(1971年)~平成31年度(2019年)、中学校の教科書は昭和30年度(1955年)~令和2年度(2020年)に使用されたもの。また小学校の教科書の表紙画像については、昭和36年度版(1961年)から表示できるそうだ。

1990年生まれと入力すると、こんな風に表示される(出典:光村図書出版)
1990年生まれと入力すると、こんな風に表示される(出典:光村図書出版)

Twitterでは、「教科書のデザイン見ただけでもう懐かしさで爆発しそう」「なにこれすごいなつかしい………しかもどれもめちゃくちゃ覚えてる」「エモエモのエモだよ」などと、思い出に残る教科書を見つけた感動を多くの人が伝えていた。

その一方で、「表紙はあーこれこれ!ってなったけど、収録作品は3つくらいしか覚えてなかった」「懐かしい!…と思うはずが、案外覚えてない」「こんな表紙だったかもしれないけど全然覚えてないや」などと、あまり覚えてない人もいた。

光村図書出版は1949年の創立で、全国の小中学校の国語教科書に関しては60%以上というトップシェアを誇っているそうだ。覚えていない人は他社の教科書で勉強していたのかもしれない。

(出典:光村図書出版)
(出典:光村図書出版)

また同コンテンツでは「教科書 time travel」と題し、教科書掲載作品のあらすじや編集にまつわるエピソードを2018年から紹介。

こちらは今回の新機能に合わせて3本を追加した。現在は「守る、みんなの尾瀬を」「北の国から」「キョウリュウをさぐる」「小さい白いにわとり」「一本の鉛筆の向こうに」「赤い実はじけた」「ガラスの小びん」の7本が公開されている。

「思い出とともに懐かしくご覧いただければ」

ところで、なぜ昔の教科書に関するコンテンツを作っていたのだろうか? また、新たに新機能を追加したことで、どんなユーザーに使ってほしいと考えているのか? 光村図書出版の担当者に聞いてみた。


――なぜ「教科書クロニクル」を公開する事になった?新機能を追加した理由は?

過去に光村の教科書を使っていた保護者や一般の方から、「確かこんな教材があったんだが、題名は?」「昔の教科書が見たいのだが」というお問い合わせがよくあります。著作権の関係で、教材そのものは提供できないことが多いため、せめて、表紙で当時のことを思い出してもらえればと考え、20年ほど前に表紙と主な教材の一覧をウェブサイトに掲載しました。

今回、ウェブサイトのリニューアルに当たって、もっと楽しんでもらえる工夫はないかと社内で検討し、生年から使っていた教科書を絞り込む機能を追加しました。

小学校の物語教材「くじらぐも」や「スーホの白い馬」などは、50年近く掲載されており、親、子、孫の3世代で教わったという方もいらっしゃいます。そうした教材を話題にしていただくなどしながら、ぜひ、今、お子さんやお孫さんが使っている教科書にも興味をもっていただきたいと願っております。

(出典:光村図書出版)
(出典:光村図書出版)

――「古い教科書」の問い合わせは、どのくらいあるの?

月に1~2件ほどです。ただ、お問い合わせいただくすべての教材が光村の教科書とは限らないため、お答えできないケースもあります。


――どんなユーザーに、どう使ってほしい?

光村の教科書を使っていた方々すべてに、過去の思い出とともに懐かしくご覧いただければと思っております。

(出典:光村図書出版)
(出典:光村図書出版)

担当者によると「教科書 time travel」は今後少しずつ追加していく予定だという。「国語」の授業はあまり覚えていない人も、教科書の表紙を見れば思わぬ記憶の扉が開くかもしれない。「教科書クロニクル」で昔を懐かしんでみてはいかがだろう。

出典:教科書クロニクル(https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/chronicle)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。