温泉旅館で暮らし始めた子猫の姿が、Twitterユーザーをほっこりさせている。

只今、スリッパ温め係の研修中。

長野県にある温泉旅館「桐屋旅館」のアカウント(@kiriya_ryokan)が投稿したのは、子猫が玄関に置かれたスリッパに座る姿。小さな体で懸命に温めているように見える。

スリッパに座る、あんずちゃん(桐屋旅館のTwitterより)
スリッパに座る、あんずちゃん(桐屋旅館のTwitterより)
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この子猫は旅館で暮らす、キジトラの女の子・あんずちゃん。年齢は推定で生後2カ月だという。

履物を温めるという、豊臣秀吉の逸話のような光景に「将来天下取るかも」「心まで温まりました」といった、ほほ笑ましいコメントが寄せられ、投稿は7万以上のいいねを集めた(7月14日時点)。

うめ吉くん(左)とあんずちゃん(桐屋旅館のTwitterより)
うめ吉くん(左)とあんずちゃん(桐屋旅館のTwitterより)

桐屋旅館は行き場のない猫などを、“ネコスタッフ”として保護している旅館でもある。実はあんずちゃんも、茶トラの男の子・うめ吉くんと一緒に、2023年6月下旬に“入社”したのだという。

ネコスタッフの相関関係 ※あんずちゃん、うめ吉くん、あずきちゃんは未反映(桐屋旅館のウェブサイトより)
ネコスタッフの相関関係 ※あんずちゃん、うめ吉くん、あずきちゃんは未反映(桐屋旅館のウェブサイトより)

ネコスタッフは総勢9匹で、先輩には、ショースケくん、モモちゃん、ハチくん、スズちゃん、きなこちゃん、ムギちゃん、あずきちゃんがいる。

モモちゃん(桐屋旅館のTwitterより)
モモちゃん(桐屋旅館のTwitterより)

そして、先輩も過去に“スリッパ温め係”の姿を見せているのだ。例えばモモちゃん。

きなこちゃん(桐屋旅館のTwitterより)
きなこちゃん(桐屋旅館のTwitterより)

きなこちゃんも同じく、くつろいでいるように見える。しかし、スリッパに乗るのはなぜだろう。そして“新入スタッフ”のあんずちゃんはうまくやっていけているのだろうか。桐屋旅館の担当者に聞いた。

お膝温め係、温泉ご案内係も!?

――スタッフとして猫は、普段どんなことをするの?

例えば、ご案内係・お膝温め係・温泉ご案内係・スリッパ温め係など。お客さまに遊んでいただき、そのお相手などもしています。猫は狭い所が好きなので、お客さまの浴衣の裾や、足の間などに自分から挟まってきます。

お膝温め係となった、猫たち(桐屋旅館のTwitterより)
お膝温め係となった、猫たち(桐屋旅館のTwitterより)

――あんずちゃん、うめ吉くんの“入社”経緯は?

中の人(女将)の友人が5月19日、庭で雨に濡れていた、2匹の子猫を保護しました。親から置いて行かれたのか、迷子になったのかは不明です。友人らの協力で元気に成長し、桐屋旅館に入社の運びとなりました。


――あんずちゃんの画像はどんな状況で撮影した?

代々(猫がスリッパに乗る姿を)スリッパ温め係として、Twitterに投稿していました。今回は新人が来たので温めてくれたらと思っていたら、お客さまと遊んだ後に(あんずちゃんが)ちょうど乗ったので撮影しました。

遊びのひとつとして乗ってしまうのでは

――猫たちはスリッパをどうして温めるの?

お気に入りのおもちゃとしての認識があるのか、お客さまの匂いが好きなのか…。当館のスリッパはつま先が無いタイプなので、中を覗くと面白いのかもしれません。先輩が教えていることはありませんが、遊びのひとつとして乗ってしまうのでしょうね。私は、猫からお客さまへのサービスだと思っています。

お客とスリッパで遊ぶ様子(桐屋旅館のTwitterより)
お客とスリッパで遊ぶ様子(桐屋旅館のTwitterより)

――お客はどんな反応をしている?

私は猫たちがスリッパに乗ると「スリッパ温め係偉いね」と声を掛けるので、その際は写真を撮ってくださる方も多く、ほほ笑ましい雰囲気です。


――猫がご褒美をもらったりすることはあるの?

お客さまから、おやつをいただくことがあります。猫たちもお客さまも、両者ハッピーになってくれると最高です。

あんずちゃんは活発で元気いっぱい

――あんずちゃんは旅館でどう過ごしている?

うめ吉と一緒にいることが多いです。お客さまが大好きで、人見知り無しの接客上手です。また、活発な元気いっぱい女子です。

あんずちゃん、うめ吉くんは先輩と仲良くなれるか(桐屋旅館のTwitterより)
あんずちゃん、うめ吉くんは先輩と仲良くなれるか(桐屋旅館のTwitterより)

――先輩猫との関係性は?

若いムギとあずきとは、仲良く打ち解けて良く遊んでいます。年長のショースケは問題なく受け入れ、ハチも可愛い後輩が出来て喜んでいる状態です。2匹(あんずちゃん、うめ吉くん)に対して、きなこは距離があり、モモとスズはまだ苦手なようです。長い目で仲良くできたらうれしいなと思っています。


――猫たちには旅館でどう過ごしてほしい?

桐屋旅館は基本、猫が好きな方にお越しいただいています。お客さまが我が家の猫と楽しく遊んでいただき、猫たちもお客さまに遊んでいただき、皆が笑顔で過ごせるようになっていますし、これからもそんな日々が続くとうれしいです。

なお、桐屋旅館では、猫にストレスを与えないよう自由に過ごさせているという。「猫たちの気持ちを察して寄り添ってかいわがっていただけると嬉しいです」としている。

訪れた際は、猫たちのペースに合わせて接してほしい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。