最近ネット上で、岡山・倉敷市のふるさと納税の返礼品のラインナップに加えた、寄付額4,600万円のキャンピングカー話題になった。話題性のある返礼品などで、岡山・香川の自治体も全国から寄付を集めようと工夫している。人気の自治体のヒミツを探った。

観音寺市の「勝利の方程式」

香川県で最も寄付を集めているのが、観音寺市だ。2022年度に集めた寄付は、15億9,000万円。前の年(12億7,000万円)から3億円以上増やした。実は観音寺市には「勝利の方程式」がある。

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ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすると、翌年の住民税などが控除される制度。自治体からは、寄付した額の30%までの返礼品がもらえる。この返礼品の魅力で、各自治体は競っている。

観音寺市の返礼品で人気なのは、日用品だという。

観音寺市ふるさと活力創生課・白川祐季さん:
日用品。ベビー用品やペットシートが伸びています。76枚×24個入りのたくさん入っているおむつを返礼品で選ぶ方が一番多いというデータが出ています

観音寺市には、衛生用品の大手メーカーの工場がある。このため他の自治体にあまりない返礼品を扱えるのが観音寺市の強みだ。

観音寺市ふるさと活力創生課・石川大介さん:
物価が上昇傾向にあって、その影響で返礼品も日用品のニーズが高まっている。全国的な傾向

日用品以外に人気なのが、「フルーツ定期便」だ。12カ月、旬のフルーツが届いて寄付額は12万円。特に女性に人気だという。日用品を選んだ人がフルーツも選ぶため、寄付額が増えていく。

ポイントは還元率を上げたこと

一方、岡山県でふるさと納税の寄付額を増やしているのが倉敷市だ。農業も工業も盛んで、元々フルーツやデニムなど様々な返礼品があったが、ここ2年間で寄付額は5倍以上(2020年度:8,900万円 → 2022年度:4億7,000万円)に増えた。

その理由の一つが、還元率を上げたこと。還元率は「寄付額の30%以内」で自由に決められる。倉敷市は2021年春、20%から28%に変えた。つまり8%分、お得な返礼品がもらえるようにしたのだ。その倉敷市が2023年5月、返礼品に加えたのが、寄付額4,600万円のキャンピングカーだ。

アネックス倉敷玉島工場・黒田旭紀さん:
通常価格は1,300万円(寄付額の28%)。サイズは大きめで、元々ほとんどのものがついた仕様

2022年の秋、市内にキャンピングカーの工場ができたことを倉敷市の職員が聞きつけ、会社に話を持ち掛けたことで実現した。4,600万円分の税金控除を受けるためには、なんと年間10億円の給与収入が必要だが、ターゲットとなるのはどんな人なのか。

倉敷市税制課・片山徳之さん:
寄付額が寄付額なので富裕層になるが、関東圏の方が高額寄付をする傾向にある。まず倉敷市に興味を持ってもらうことが必要

人気の自治体の返礼品は…

人気の自治体の理由を考えると、(1)「目玉となる返礼品」がある、(2)フルーツ定期便のような「パッケージの工夫」、(3)「還元率の高さ」が挙げられる。

総務省は6月27日、ふるさと納税のルールを10月から変更すると発表した。地場産品に該当するかあいまいな返礼品が増えているとして、基準を厳しくすることにしている。

より地場にこだわった返礼品が出てくると予想されるため、返礼品が増えることで、地域の魅力が掘り起こされるのではないだろうか。

(岡山放送)

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