環境省が青森県を生息地の北限としてきたウナギが北海道にも分布しているかもしれない。
専門家が3年前から調査を続ける中、記者が独自にリサーチ。天然ウナギを釣り上げた。
北海道には生息していないされる絶滅危惧種の二ホンウナギ。
目撃情報があり、3年前、専門家が調査を始めた。

北海道のいくつかの川で捕獲されたといわれているが、成果はベールに包まれたまま。
釣り竿のかわりに“ペットボトル”糸は100円ショップで
取材したのは桶谷 駿矢記者。
彼は自宅の浴室をウナギに開放するほどウナギ愛が深く、大の釣り好きだ。

独自に分布している可能性のある河川を割り出した。
エサはミミズで、竿のかわりに用いるのはペットボトル。
「ペットボトル釣法」といわれる釣り方だ。

「ペットボトルだけだと軽さで飛ばされてしまったりするので、半分くらいまで水を入れて使用します。100円ショップでも売られている安い糸なんですけども、ペットボトルのくびれの部分に結んで、大体30回程度中心の部分に巻いていきます」(桶谷記者)
釣れるのは北海道の代表的川魚「ウグイ」
「ウナギ愛にかけて釣っていきたい」(桶谷記者)
抱負を語っているそばからいきなりヒット!
「ミミズが食べられていますね。開始一投目でミミズが食べられました。何かいますね、この川」(桶谷記者)

あたりは続く。
「また倒れました。いないかなー。ん?なんか魚かかってますね。なんかギラギラ光ってます。ああ、これはきっと…。まさかの当たりはウグイですね。残念!」(桶谷記者)
北海道の代表的な淡水魚「ウグイ」。

ウグイがサイズアップし、その後もウグイラッシュが続く。
「うなぎ、うなぎ、うなぎ」記者連呼 体長40センチのニホンウナギ釣る!

開始から2時間たった午後8時。
日も暮れて周辺は真っ暗だが、夜行性のウナギを釣るにはここからが勝負。
そして、奇跡は起きた。
約1時間ぶりにペットボトルが倒れたのだ。
「お? なんか引きがウグイっぽくない…。お? え? ん? なんか細長いですね」(桶谷記者)
桶谷記者が徐々にうわずり、興奮はピークに。
「ちょっと待ってください! うなぎ、うなぎ、うなぎ! うなぎ来ました! 二ホンウナギきました! 北海道の川で二ホンウナギ釣れました! 北海道で初めて見た。北海道によくいるヤツメウナギとかではなく、本物の二ホンウナギです。しかもペットボトルで釣れました。最高です!」(桶谷記者)
前例なし 専門家びっくり「よく釣ったなぁ」
北海道の川で、体長約40センチ、正真正銘の二ホンウナギが釣れた!

北海道のウナギ調査の中心人物、北海道大学の岸田治准教授を直撃。
いままで北海道でウナギを釣った人はいるのか?
一般の人が捕獲した事例はあるかをたずねると前例はないという。
「研究している側からするとまあよく釣ったなという感じですね。釣れるほど、ウナギがいるかは怪しい。限られているところでうまいこと見つけたなというのが率直な感想」(岸田准教授)
北海道が“ウナギの一大産地”に!? 専門家 可能性を指摘

北海道でどの程度生息しているのか。
「それは言えないです」(岸田准教授)
研究成果をたずねるとけむに巻かれた。情報を伏せる理由は乱獲を恐れてのこと。
「本州でウナギの数がすごい勢いで減り、問題になっています。逆に北海道がウナギの一大産地としてこれから重要視されていくこともあるかもしれない」
釣ったウナギは一度水槽で回復させたあとにリリース。
元気な姿で元の河川へ戻っていった。
まだ北海道のウナギは研究が始まったばかり。
ウナギという新たな北海道の資源を守るために何をすべきなのか、議論が必要。

ウナギの生態はまだ解明されていないが、2000キロ以上離れたマリアナ海溝で産卵。
卵と稚魚のシラスウナギが黒潮にのって日本へたどり着き川で成長するとみられている。
温暖化により海や川の水温は上昇している。
ただ、岸田准教授は「生息域が北上しているのか、個体が特定の地域で増加しているかはまだ分かっていません」という。
そもそもウナギは北海道に生息している前提ではないので、漁業権など法整備が整っていない。
岸田准教授は万が一釣り上げてもリリースをしてほしいと話していた。