7月3日、豪雨に見舞われた熊本市で、運転していた車の中に閉じ込められてしまった60代の女性。

7月4日、水が引いた後の女性が乗っていた車 車体にはくっきりと水の跡が
7月4日、水が引いた後の女性が乗っていた車 車体にはくっきりと水の跡が
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女性が乗っていた車のドライブレコーダーに残された映像から見えてきたのは、 “いつもの道”が突然牙をむく、恐怖の一部始終でした。

突然の脱輪…急激な増水で自力で脱出もできず

時刻は3日午前9時50分頃。夜勤明けだった60代の女性は、雨が弱まったのを確認して、帰宅することにしました。

道路は水に濡れているものの、浸水などはしていない(3日)
道路は水に濡れているものの、浸水などはしていない(3日)

このときはまだ、道路も雨で濡れている程度で、危ない様子は見られません。

田んぼ脇の道に入ると、少しずつ水が
田んぼ脇の道に入ると、少しずつ水が

順調に“いつもの帰り道”を運転していたところ、周囲が田んぼに覆われた道に差し掛かったところで、道路が水に覆われていることに気がつきます。

60代女性「わぁ、何?この水の量は!堤防でも決壊したか…」

次第に水かさが増えていく
次第に水かさが増えていく

進むにつれて増える水かさ。だんだんセンターラインがどこにあるのかも確認が難しい状況に。

60代女性「なになになになに、心臓悪い、心臓悪い、道路が分からん、うそでしょ…」

「ガコンッ」と大きな音がしたかと思うと車体が斜めに
「ガコンッ」と大きな音がしたかと思うと車体が斜めに

それでもなんとか前を走る車を頼りに進んでいましたが、突然、「ガコンッ」と大きな音がして、車が動けなくなってしまいました。

60代女性「はまった!はまっちゃった!こういうところで止まったら大変!」

冠水した影響で道幅が分からなくなったため、車が脱輪してしまった様子。後続車や対向車が水しぶきをあげながら進んでいく中、女性の車は動くことができません。

60代女性「電話はどこにいった?進まない…えー、こんなところで止まりたくない」

なんとかこの状況から抜け出すために、女性は知人に電話をします。知人から車をレッカーしてくれる会社の電話番号を聞き出し、かけてみることに。

60代女性「水かさがすごくって、溝にはまったんだと思うんです。水かさがあって降りれないので。このままだとエンジンが止まったら…しまいですね」

電話をして少し落ち着きを取り戻したものの、動けなくなってから約30分後。再び天候が悪化します。

60代女性「雷まで鳴りだしたんだけど、こわい…初めてだよこんなの。どうしよう…こわい…泣きたくなってきた…」

大きな音で鳴り響く雷。女性は不安な気持ちが蘇ってきたのか、車内で泣きだしてしまいました。
この3分後、水が入って故障したのか、ドライブレコーダーは停止しました。

「ちゃぽん」水音の恐怖 危機一髪の救助

「めざまし8」が車の運転していた60代の女性に連絡を取ると、女性は元気そうな声を聞かせてくれました。

Q.運転していたのは普段通っている道路ですか?
60代女性:

そうです。いつもの道なので、通れなくなると思わなくて通ったんです。いつもそんなに水が来ていることがなかったので、初めてですね。

女性によると、ドライブレコーダーが停止したあと、さらなる恐怖に襲われたといいます。

60代女性:
(車内に水が)入ってきましたね、だんだん水かさが増えてきて。娘とかも心配して電話してきたときには、ドアに水があたるじゃないですか「ちゃぽちゃぽ」って。その音が聞こえ始めたときには、さらに不安が増しましたね。このままで大丈夫なんだろうかと。

周囲の水かさが増し、車内にまで浸水。ドアも水の重みで開けられなくなり、完全に車内に閉じ込められてしまったというのです。

絶体絶命の危機…。女性はパニックになりながらも警察に連絡。警察から連絡を受けたとみられる救急隊が、救助にかけつけてくれたといいます。

救急隊の助けでなんとか窓から脱出した女性。幸い、ケガもありませんでした。

浸水で変色したシート 車の半分まで水が入ってきていたことが分かる
浸水で変色したシート 車の半分まで水が入ってきていたことが分かる

60代女性:
娘からも「命があって良かったね」とは言ってくれたんですけど、命に縁があったのかなと思っています。

(「めざまし8」7月5日放送)