2021年に引退した静岡県三島市出身の力士「磋牙司」。
粘り強い相撲で幕内でも活躍した大相撲の元力士が第2の人生として選んだのは子供たちの居場所づくりだ。
第2の人生は子供たちの支援
三島市の放課後等デイサービス事業所「ハッケヨイ！」
障害がある子供たちや、発達に特性がある子供たちをサポートする場所だ。
優しいまなざしで子供たちを見守るのは磋牙司こと磯部洋之さん。
磯部洋之さん：
毎日が、相撲を始めた時と一緒で、すごく新鮮な気持ちで本当に充実しています
人生を彩った相撲
三島市出身の磯部さん。小さい体ながらも、鋭い立ち合いを武器に2010年には新入幕を果たすなど、17年間、大相撲の世界で力士として活躍した。
磯部洋之さん：
引退するときは（引退後のことは）正直何も考えていないというか、関取を目指す、本当ギリギリ引退するその日まで、関取に帰りたいという気持ちで、本当、相撲一筋でやってたので」
引退後、次の目標が見つからない中、磯部さんが出会ったのは知人が運営する放課後等デイサービスの子供たち。
磯部洋之さん：
初めて事業所に行って子供たちと相撲を取ったら元気あふれる子供たちばっかりで、自分が元気もらって。子供たちと同じ目線で寄り添って、歩んでいきたいなって気持ちになって
子供たちの力になりたい。磯部さんがそう思うのには子供の頃の経験がある。
磯部洋之さん：
よく怒られてました。じっと座ってられなかったり。何かあると友達ともめちゃう、傷付けちゃうとか。それに対して善い・悪いの判断ができなかったのかな。
それが相撲を始めて、私はたまたま相撲と出会って相撲が好きだったので、先輩とか先生にそういうことを教えてもらいながら。ちょっとずつですけどね、すぐにはあれだったけど、ちょっとずつ改善させてもらった、改善していった
元力士が見つけた新たな土俵
自分と同じように生きづらさを感じている子供たちの居場所として、磯部さんは2023年4月に「ハッケヨイ！」をオープンした。
運動による支援を通して発達を促す、運動療育の専門家と連携したプログラムが特徴だ。
基礎体力や運動能力の向上だけでなく、順番待ちなどを通してコミュニケーション能力を養うことが狙いだという。
これはプロジェクションマッピングを活用したトレーニングゲーム。
点数として目に見える形で子供たちの成長を確認することができる。
磯部洋之さん：
子どもたちの個々に”好き”があると思うので、そこの”好き”をうまくアプローチしながら寄り添っていきたいです、一緒に。好きなことっていうのはすごく興味がある。そうすると学びも多分、早いと思うので
この日は外遊びに出かけた。それぞれ興味があることに夢中な子供たちを磯部さんは見守っている。
磯部洋之さん：
自分で挑戦して、自分から前に進んでいける、そんな子供に育ってもらいたいですね
第2の人生を子供たちと共に歩み始めた元幕内力士「磋牙司」。
新たな土俵の上で子供たちの未来を見据えている。
（テレビ静岡）
