関西電力は株主総会を開き、顧客情報の不正閲覧などについて社長が謝罪した。また、運転を停止していた高浜原発1，2号機の再稼働を発表しており、管内の原発7基すべてが稼働することになる。
株主からは経営陣の責任を問う声相次ぐ
28日の株主総会で森望社長は、関西電力が主導して大手電力会社と営業自粛を申し合わせていた「電力カルテル」や、子会社の顧客情報を不正に閲覧していた問題について陳謝した。
株主からは、経営陣の責任を問う声やコンプライアンス改善への具体策を求める意見が相次いだ。
株主：
不正をすることで大きな電力を取り戻すのは傲慢で悪質
また関西電力は先週、2011年から運転を停止していた高浜原発の1号機を7月に、2号機を9月中旬にそれぞれ再稼働させると発表した。 高浜原発1号機・2号機が稼働することにより、関西電力管内の原発7基すべてが稼働することになる。
東日本大震災以降初 原発7基すべて運転再開へ
関西電力が再稼働することを決めた原発について詳しく見ていく。
2011年1月に定期検査で運転を停止していた高浜原発1号機は7月下旬に、そして東日本大震災以降、運転を停止していた2号機は9月中旬に再稼働する予定だ。
どちらの原発も運転開始から40年以上がたっている。関西電力管内の原発7基すべてが運転再開となれば東日本大震災以降、初めてだ。
会見では関西電力の西澤伸浩取締役が「原子力発電を最大限に活用する」と話した。 関西電力が全ての原発を再稼働することで今後の電気料金に影響はあるのか？
再稼働前に…問題は核のごみと避難計画
関西テレビ・神崎博デスク：
ウクライナ情勢を受けて、世界的に資源価格が高騰しています。大手電力8社の電気料金を比較してみますと、原発が再稼働していない北日本とか東日本は原発の代わりに液化天然ガス、LNGで発電することになっているので資源価格の高騰と共に、電気料金が跳ね上がってる状況です
関西テレビ・神崎博デスク：
北海道は8,000円台、東京7,000円台と、東日本や北日本では高い値段なのですが、一方で、関西電力の管内は5,000円台と低い価格に抑えられています。やはり5基の原子力発電所が今、関西で稼働していて、今後、7基すべてが稼働すると、さらに関西電力管内の電気料金が下がるということも考えられます
関西電力の西澤取締役は「原子力発電を最大限に活用する」と話した。大阪市長でもあった松井さんだが、大阪市は関西電力の筆頭株主として「脱原発」を掲げて働きかけていた。今回の7基すべて再稼働へという判断を、どういう風に見ているのか？
前大阪市長・松井一郎さん：
脱原発を働きかけていたのは、原発の”使用済み核燃料”の最終処分が決まっていないということからでした。使用済み核燃料の最終処理できなければ原発を止めざる得ないだろう…と。株主として、事業を継続するにあたっては、その問題に真正面から向き合ってくださいということを関西電力に言い続けてきました
前大阪市長・松井一郎さん：
ただ、今、国の方でも「高速炉を活用した使用済み核燃料の最終処分というのをやっていこう」と試験的な形はスタートしています。そういう中で現職だった去年、ロシアのウクライナへの侵攻があって、困っている市民の目の前の生活を守るためには、今止まってる原発を動かすべきだということを政府に要請しました。
その結果、今、関西電力だけが電気料金を値上げせずに、住民の皆さんの生活のために価格を抑えています。また市民生活だけではなくて、産業面において中小企業の町工場等の稼働にもエネルギー価格は大きな影響を与えています。
カーボンニュートラルという国の大方針もありますから、原発の使用済み核燃料の最終処分をどうするんだいうことを、国が決めていくべきだと思います
太田さんはこれまで核問題についていろいろ取材してきたが、東日本大震災を経験し、それ以降、停止していた原発の再稼働についてはどう受け止めているのか？
共同通信社編集委員・太田昌克さん：
肝心要の問題は核のゴミの問題ですよ。これをやっぱり子どもや孫の代に先送りして、我々だけが電気を享受することは許されないことです。核のゴミが置かれるのは福井県かもしれないですよね
共同通信社編集委員・太田昌克さん：
あともう1つは避難計画です。高浜原発の場合は国道27号を使って住民が避難することになっています。だけど国道27号線は、原発事故が起きた場合に、自衛隊が支援活動に入るルートでもあります。
つまり今の計画ですと、本当に実効性があるのかという疑問が残ります。国がしっかり、核のゴミの問題と避難計画を実行可能性の高いものにしないと、いつまでも原発は続けられないのではないか、というような懸念を抱きますね。再稼働する前に、まだまだやることはあると思います
（関西テレビ・「newsランナー」6月28日放送）
