2022年以降、物価の上昇が止まらない。食料品や日用品、燃料などあらゆる商品やサービスが値上がりし、家計を直撃する中、子どもたちが大好きな「駄菓子」も例外ではない。そんな物価高騰に”ある工夫”で立ち向かう駄菓子問屋がある。

オリジナル菓子を販売する駄菓子問屋

長崎・大村市に本社を置く菓子食品総合商社「オカシノフルカワ」は、昭和26年(1951年)にお菓子卸売業を営み、長崎県内や佐賀県の一部のスーパーなどにお菓子を販売しているほか、大村市の社屋で駄菓子の直売も行っている。

社屋で駄菓子の直売も
社屋で駄菓子の直売も
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店にずらりと並ぶ駄菓子。昔懐かしいものから、新しいもの、珍しいものなど約1,500種類の取り扱いがある。

約1,500種類の駄菓子を取り扱う
約1,500種類の駄菓子を取り扱う

子どもたちにとってはワクワク感を、大人にとってはお小遣いを握りしめてどれを買おうかと悩んだ思い出に浸れるような懐かしい空間だ。

取材に訪れた2023年6月21日は「夏至」。実は「夏至」と駄菓子には、深い関わりがある。6月21日は全日本菓子協会が定めた「スナックの日」なのだ。

昔、「夏至」の日に、歯固めのため、もちを硬くしたあられのようなスナックを子どもに食べさせていたことが由来となっている。

そんなスナック菓子も多く取りそろえている「オカシノフルカワ」の店舗の入り口に、あるコーナーが設けられている。陳列されているのは“長崎の素材”を使ったオリジナル商品だ。

テレビ長崎・烏山拓巳アナウンサー:
自分たちでプロデュースしたものですか?

「オカシノフルカワ」5代目・古川洋平代表取締役社長:
取引のあるメーカーさんに協力いただいて、長崎の素材を使ったお菓子のシリーズということで、出させていただいた

「長崎発 九州じげもん街道」は、長崎の名産品を素材にした「オカシノフルカワ」オリジナルの菓子食品シリーズだ。

「オカシノフルカワ」オリジナルの“長崎発 九州じげもん街道”
「オカシノフルカワ」オリジナルの“長崎発 九州じげもん街道”

そのほか「オカシノフルカワ」オリジナルシリーズには、長崎県産のあご(飛魚)の粉末と五島灘の塩をつかったせんべい「あごせん」や、長崎老舗醤油メーカー「チョーコー醤油」とコラボレーションした本醸造の丸大豆醤油「むらさき」を使ったほどよい甘みが癖になる「かめせん」などがある。

うまい棒も12円に…押し寄せる値上げラッシュ

いま、物価高騰による値上げラッシュは駄菓子業界にも押し寄せている。子どもに人気の“うまい棒”がいま、いくらで販売されているか知っているだろうか。

1979年からずっと10円だったが、2022年4月に物価高のため12円に値上げされた。20%の値上げとなると、限られたお小遣いの中でお菓子を買う子どもにとっては死活問題とも言える。

テレビ長崎・烏山拓巳アナウンサー:
ここで販売する駄菓子も、価格高騰の波を受けていますか?

「オカシノフルカワ」5代目・古川洋平代表取締役社長:
値上がりはここ最近ずっとしていて、僕らの子どもの頃は“ビックリマンチョコ”は30円だったのに、100円というレベルで値上がりしている

40代の人の多くが子どもの頃にはまったであろう「ビックリマンチョコ」。レアなシールを求めて、スーパーや駄菓子屋さんをはしごした人も少なくないはず。

そんなビックリマンチョコの価格は、人気絶頂だった販売開始当初(1977年10月)は「30円」だったが、14年後の1991年には「50円」、1998年7月に「60円」と、シールやウエハースチョコの大きさが改良されたりしながら、2005年7月からは「80円(税別)」と、販売を開始した46年前と比べて2倍近くの値段となっている。

独自の取り組み「駄菓子のアウトレット」

そんな中でも オカシノフルカワでは、独自の企業努力でできるだけ安くお菓子が手に入るような仕組みを作っている。その秘密が店舗裏の倉庫にあるという。その秘密は一体何なのか、この日は特別に許可を得て中に入らせてもらった。

そこにあったのは無数の段ボール箱。

「オカシノフルカワ」5代目・古川洋平代表取締役社長:
お菓子の問屋なので、(段ボールは)9割9分お菓子です

そして倉庫内の一角に目を移すと「アウトレットセール」の文字が。

「オカシノフルカワ」5代目・古川洋平代表取締役社長:
入り口の一部だけですが、お菓子を安く買えるようにしています。規格変更の商品や、賞味期限が間近になった商品などを見切り価格で出させてもらっています

「駄菓子のアウトレット」は、フードロスの削減にもつながり、物価高のいま、消費者にとってもお菓子が比較的安く手に入るのはありがたい。

「オカシノフルカワ」5代目・古川洋平代表取締役社長:
お菓子の問屋なので(長崎)県内の小売店にお菓子を納めてさせてもらって、そこで子どもたちが寄ってくれたり、大人たちが買ってくれたりすることがもちろん一番ですが、プラスうちには直売店もあるので、いろいろなことを試しながら長崎のお菓子専門問屋として発信ができたらいいなと思っています

かつて、子どもの学び場であり、社交の場でもあった駄菓子屋。お小遣いで自分が食べたい駄菓子をどれだけ買えるか勉強したり、予算オーバーにならないように我慢も覚えただろう。駄菓子を楽しみにしている子どもはもちろんだが、思い出に浸りたい大人も多い。

駄菓子を愛する人たちのために…。物価高騰や時代の流れに合わせながら、お菓子業界の模索が続いている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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