暑い時期に気を付けなければいけない熱中症。実は本格的な夏を迎える前から十分な注意が必要で、専門医は「梅雨時は真夏より熱中症になりやすいともいえる」と警鐘を鳴らしている。温度調節や水分補給にくわえ、うまく活用したい最新の対策グッズも出ている。
熱中症の搬送車すでに100人超

もうすぐ本格的な夏がやってくる。最近は「危険な暑さ」「災害級の猛暑」ともいわれる。2022年、静岡県内で5月1日から9月末に熱中症で救急搬送された人は1688人に上った。

熱中症は軽症の段階では、立ちくらみや大量の汗をかく発汗が起き、症状が進むと頭痛や吐き気、倦怠感が出てくる。さらに進むと、意識障害や、けいれん、手足のまひなどの症状が現れ、最悪の場合、死に至る恐れもある。
2023年も5月から6月前半までに県内で100人を超える人が、熱中症で搬送されている。
梅雨時は熱中症になりやすい?!

中学生や高校生が集団搬送される事態も起きていて、静岡済生会総合病院の江澤医師は「すでに十分な注意が必要」と呼びかける。

静岡済生会総合病院 救命救急科・江澤 康平 医師:
梅雨の時期はまだ真夏ほど気温は高くないですが、湿度が高いので汗をかいても熱を体の外に逃がすことが出来なくなっているので、気温に比べて意外と熱がこもりやすくて熱中症になりやすい時期です。油断して水分摂取などが少なくなっているとむしろ真夏よりも熱中症になりやすいともいえます

梅雨時の熱中症は、気温だけでなく湿度にも注意が必要だ。汗が乾かずに熱がこもってしまうからだという。また、暑さに対する慣れ・身体の準備が整っていないことも熱中症になりやすくなっているという。
熱中症…年代による注意点も
では、どのように行動したらいいのだろうか。

静岡済生会総合病院 救命救急科・江澤 康平 医師:
最も重要なのは暑い環境に長くいないということです。屋内であれば、しっかりエアコンを使う、屋外であればしっかり日傘を使うだとか、涼しい日陰に休憩をしに行くだとか、そういう対策が必要です。立ちくらみのような症状が出てきたときは、熱中症の初期段階なので、その時点でしっかり体を冷やして、十分な水分を取っていただくのがいいと思います

また、年代による注意点もある。
静岡済生会総合病院の江澤医師によると、子供は体温調節の機能が未熟で、大人に比べ熱中症のような症状が起きやすいという。そのため、大人がしっかり気を付けることが重要だ。一方、高齢者はのどの渇きや暑さを感じる機能が落ちて、本人が思っている以上に体温が上がってしまっているケースがあるという。時間を決めて水分補給をしたり、暑がっていなくても空調の調整をしたりすることが大切になってくる。
対策グッズ活用で熱中症予防

ますます暑くなる夏に向けて、どんな対策ができるのか。静岡市駿河区のドラッグストアでは、本格的な夏を前に暑さ対策コーナーを設置している。

本谷 育美 アナウンサー:
おすすめの暑さ対策商品は?
杏林堂薬局・正田 葉月さん:
クールリングがおすすめになっています。
本谷 育美 アナウンサー:
首にかけた瞬間からとってもひんやりします。気持ちいいです

効率よく体温を下げるには、血管が集まっている、首や脇を冷やすことが重要だ。28℃以下で自然と凍結するこのクールリングは、冷凍庫なら20分、冷水なら30分で冷えた状態になり約1時間持続するという。繰り返し使えるうえ、結露しないため首や服が濡れる心配もない。(※商品によって異なる)

また暑い夏は、湯上がり後の肌がさっぱりするクール系の入浴剤がおすすめだ。ミントの香りやメントール配合でひんやりと感じられる。夏はシャワーで済ませがちだが、冷たいもののとりすぎや、冷房の効きすぎなどで体が冷えてしまう夏冷え予防にも入浴が効果的だという。

杏林堂薬局・正田 葉月さん:
しっかりと体の中を温めていただくことが重要になってくるので、そういった際に入浴剤なんかを使ってお風呂に入っていただくことが大切です

他にも、衣類などに吹きかけることでひんやり感じることが出来るハンディミストや、体をふくボディタオルなど、暑い日に体温をさげ、ひんやりと感じさせてくれる商品は欠かせない。
普段の体調を“健康に保つ”
ますます暑くなるこれからの時期。まずは普段の体調を整えておくことが重要だ。

静岡済生会総合病院 救命救急科・江澤 康平 医師:
夏は気温自体が高いので湿気のあるなしにかかわらず、体に熱がこもって熱中症になってしまいやすいです。やはり普段の体調がよくないと、熱中症になりやすくなってしまうので、普段から適度な運動をするだとか、水分摂取、栄養摂取を行うだとか、普段の体調を健康に保っておくことが重要だと思います

2023年の夏は平年より気温が高いと予想されている。万全な対策が必要だ。
(テレビ静岡)