権威の象徴とも呼ばれる議員バッジ。“物価高騰の影響で大分県議会の議員バッジが値上がり”というニュースを5月に報じたところ、視聴者から「ほかの市町村についても知りたい」との声が。そこで、県内すべての市町村にアンケートを実施。すると、価格だけでなく、議員バッジに対する考え方の「違い」が見えてきた。

大分県議会の議員バッジ値上がり…

議員が議会などに出席する際に付けている議員バッジ。大分県議会では「大分県議会記章着用規則」で18金製と決められており、選挙のたびに交付される。4月に交付されたバッジは金の価格高騰で4年前と比べて4600円ほど値上がりし、1個あたり約2万1400円が税金で賄われた。

街頭で市民に議員バッジの値段について聞いてみると「えっそんなにするんですか」「毎回支給されるのか。そのまま(使いまわし)でもいいかと」などと驚きの声が聞かれた。

大分県議会 議員バッジ
大分県議会 議員バッジ
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市町村の議員バッジはいくら?

一方、市町村の議員バッジはどれくらいの価格なのだろうか。TOSは大分県内の全18市町村に議員バッジの価格や交付形式などの質問を含むアンケート調査を実施した。

その結果、ほとんどの市町村が3000円台から5000円台だった。県内で唯一、2種類のバッジ(4800円と1700円)を使う九重町でも2つで6500円。

ひとつ2万円以上する県議会に比べると価格の開きがある。さらに詳しく調べると、市町村の議員バッジが安いのには理由があった。

県議会に比べ、なぜ安い?

まず素材の違い。表面に薄い金を張る「金張り」加工が施されているものの、大分市などすべての市が銀製、日出町など町村は真ちゅう製だった。

さらに、18市町村すべてが全国市議会議長会や全国町村議会議長会が製作した全国共通のバッジを使っているために価格が抑えられていた。全国都道府県議会議長会では共通バッジを製作していないという。1958年に、統一したバッジを作ろうと申し合わせた記録が残っているものの、普及しなかったようだ。

議員が個人負担の自治体も

さらに、バッジを公費で負担するかどうかも18市長村で違いがあった。臼杵市はバッジの購入費用は税金ではなく議員の個人負担という。担当者に話を聞いた。

臼杵市議会事務局 足立卓也さん:
過去の詳しい経緯は分からないが、旧臼杵市と旧野津町が合併をした2005年以降、このような運用で各議員が自費で購入してもらっている。特段、議員の方から不満や改善してほしいという意見は聞いていない。

臼杵市の議員バッジ
臼杵市の議員バッジ

県内では、ほかに日田市や国東市、姫島村も購入費用は税金ではなく議員個人の負担だという。県内のそのほかの自治体は、初当選時のみか選挙のたびかの違いはあるが、購入費用は公費で賄われる。

「議員バッジ」の在り方 議論の必要性

自治体によってさまざまな違いのある議員バッジ。専門家は、その在り方について議論する必要性を指摘する。

中央大学名誉教授 佐々木信夫氏(行政学):
国際的には日本をモデルにした韓国が議員バッジをつけているが、それ以外はほとんどないのが一般的。議員バッジはそもそも何であり、絶対的に必要なものなのか。ルールを議員だけで決めるのではなくて、一般の市民、県民とコミュニケーションした上で決められるというのが、プラスマイナスの効用をお互いに共有することになるのではないか。

中央大学名誉教授 佐々木信夫氏(行政学)
中央大学名誉教授 佐々木信夫氏(行政学)

また、地域振興運動として、かつて大分から各地へ広がった「一村一品運動」になぞらえ、「例えば一村一品一議員バッジ作り運動みたいなものを18市町村がそれぞれカラフルなバッジを作れば、各自治体のモデルになるかもしれない」などと話した。

議員の象徴でもある議員バッジ。改めて、どうあるべきか考えてもいいのかもしれない。

(テレビ大分)

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