飛行機の搭乗客と見送り客のために用意した電話が、秋田空港にはあるという。
名前は「おなごりホン」、設置場所は空港の2階にある「おみやげ広場 あ・えーる」の一角。

「おみやげ広場 あ・えーる」の一角にある(提供:秋田空港ターミナルビル)
「おみやげ広場 あ・えーる」の一角にある(提供:秋田空港ターミナルビル)
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国内線の搭乗待合室(制限区域)と見送りスペース(一般エリア)をつないでいて、片方の受話器をあげると反対側の受話器と通話できるというものだ。

こちらが「おなごりホン」。透明なガラス越しに通話できる(提供:秋田空港ターミナルビル)
こちらが「おなごりホン」。透明なガラス越しに通話できる(提供:秋田空港ターミナルビル)

搭乗待合室と見送りスペースは透明なガラスで隔てられているので、お互いの姿を見ながら、別れの言葉を交わすことができる。料金は無料、利用時間は午前6時55分~午後8時20分までとなっている。

このおなごりホン、実は約5年ぶりに復活したものでもある。最初の導入は2010年で18年に一度撤去されたが、23年5月30日から再び設置したという。

秋田空港ターミナルビルのツイートより
秋田空港ターミナルビルのツイートより

今回の復活は、秋田空港の運営会社のTwitterアカウントでも告知され、「思い出し泣く」といった反応も寄せられた。ロマンチックだが、空港になぜ、専用の電話を設置したのだろう。復活してどのように使われているのか。運営会社の担当者に聞いた。

保安検査を通過すると、直接会話することが難しくなる

――おなごりホンはどんな経緯で設置された?

空港では、保安検査(飛行機に搭乗するための検査)を通過すると、見送りの人と直接会話することが難しい状態になります。ただ、搭乗間際まで名残を惜しむお客様もいます。秋田空港では保安検査場の近くのエリアがガラス1枚で隔てられているので、お客様のために設置しました。

秋田空港2階のフロアマップ。「おなごりホン」は赤い丸で囲まれた場所にある(提供:秋田空港ターミナルビル ※編集部が一部加工)
秋田空港2階のフロアマップ。「おなごりホン」は赤い丸で囲まれた場所にある(提供:秋田空港ターミナルビル ※編集部が一部加工)

――撤去後に再設置となったのはどうして?

2018年の撤去は売店の改装に伴うものです。お客様から再設置の要望は多かったのですが、新型コロナウイルス感染防止の観点から復活が難しい状況でした。しかし、新型コロナに関して新たな指針が示されたことで、今回の復活を決定しました。近くには、消毒液も置いています。


――おなごりホンという名前の由来を教えて。

「名残惜しい」という意味の「おなごり」からきています。当時は、秋田・能代市で「おなごりフェスティバル」というお祭りがありまして、言葉になじみがあったためと思われます。

搭乗するギリギリまで話をする人も

――設置後の利用状況はどう?反響は?

設置直後からご利用される方がいらっしゃいました。人数は把握していませんが、年齢問わず、コンスタントに利用されています。飛行機に搭乗するギリギリまでお話される方も多いです。


――実際はどんな状況で使われている?

会話の内容までを伺うことはできないのですが、週末は家族連れが利用しています。以前は帰省シーズンにお孫さんとおじいさん、おばあさんが話しているのをよくみました。

顔を見て話したいという人もいるはず(画像はイメージ)
顔を見て話したいという人もいるはず(画像はイメージ)

――スマホもある時代だが、おなごりホンならではの魅力は?

搭乗前は機内モードにする、電源を切るお客様も多いです。おなごりホンは顔を見て話せますし、通話料がかからないのも良いところだと思います。

近日中には2台目を増設予定

――おなごりホンのような機器は他の空港にある?

現在の稼働状況は存じ上げませんが、函館空港、松山空港、長崎空港に同様の設備があるようです。


――おなごりホンはどんな形で使われてほしい?

皆さまの思い出づくりの一助になればと思います。多くの方に利用いただけるよう、近日中に2台目を増設予定です。
 


飛行機を利用するということは、久しぶりの再会だったというケースもあるだろう。おなごりホンはそうした時にも、最後まで顔を見て話すことができ、2台目も増設予定とのことから、復活を喜ぶ人が多いようだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。