飛行機に乗る前、空港での慣れない手続きに困ったという人は少なくないだろう。そんな面倒な手続きの1つが今後なくなりそうだ。

ANA 自動チェックイン機(出典:全日空)
ANA 自動チェックイン機(出典:全日空)
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航空大手の全日空(ANA)が、全国51空港に437台設置している国内線の「自動チェックイン機」を来年2023年度中に廃止すると発表したのだ。

搭乗券を発行するなどのチェックイン手続きは、4月26日にリニューアルしたスマホアプリで利用者自身が行う仕組みを打ち出しており、このほか、もちろん有人のカウンターでも対応する。

ANAスマホアプリ(出典:全日空)
ANAスマホアプリ(出典:全日空)

このアプリのユーザーや、事前にチケットの予約・購入・座席指定を済ませておくサービスの利用者など、自動チェックイン機やカウンターを使わない搭乗者は現在5割ほどおり、将来的には9割に引き上げることを目指すという。

なお国際線の自動チェックイン機は廃止の対象外。また日本航空に聞いたところ自動チェックイン機の廃止の予定はまったくないそうだ。

「空港でチェックインする」という概念がなくなる

自動チェックイン機を廃止することは、利用客にとっても便利になりそうだ。では具体的にはどんなメリットがあるのか? またスマホを持っていない人も恩恵が受けられるのだろうか? 全日空の担当者に聞いてみた。


――自動チェックイン機を廃止することで、便利になるところを教えて。

例えば、飛行機に乗ろうと空港に来たら「カウンターが混んでいた」とか「自動機が並んでいた」という事があるかと思います。これがオンラインでチェックインできることで、空港に着いてからチェックインするという概念がなくなります

空港に向かう車の中や電車の中でチェックインを済ませていただくことで、空港に着いたらお土産を買ったり、好きな食事をしたり、お客様の選択肢の幅が増えるというメリットを想定をしております。

車の中でチェックイン(出典:全日空)
車の中でチェックイン(出典:全日空)

――紙の搭乗券はなくなるの?

スマホをお持ちでない方ももちろんいらっしゃいますし、スマホを搭乗に使いたくない方もいらっしゃると思いますので、今まで通りカウンターでのチェックインも承っております。予約情報をカウンターにお持ちいただければ、そこで搭乗券をお渡しすることは可能です。


――なぜこれまでのチェックインは時間がかかったの?

これは私の経験からのお話なんですが、お客様の予定が全て揃っていて、お席を決めるだけのチェックインであれば、とても早くものの5分程度で終わります。

しかし、例えば昨日の予定を今日に変更したので差額が出るとか、欠航した分のチケットを今使いたいとか、ペットをお預かりするときなど、いろいろな確認が必要なことがあります。

また、慣れていないたくさんのお客様からの質問に回答を繰り返すなど、いろいろな場合で時間がかかることがあります。


――「自動チェックイン機やカウンター」を使わない人が約50%。では“有人カウンター”や“自動チェックイン機”、“アプリ“を使う人の割合は?

おおよそですが、約25%が自動チェックイン機を使って、約25%が有人カウンターを使われています。アプリは4月で4%。お客様の数が回復したゴールデンウィークのあった5月は13%となっています。

より「スムーズさ」「ストレスのなさ」を追求

――スマホがない人にもメリットはある?

例えば、係員が今の搭乗手続きをするのに「10」が必要だとして、それがデジタルの力を借りて「6」でできたら「4」の余剰が生まれます。この「4」を他のサービスに提供して、より質を上げて必要なお客様に提供できることがメリットと考えております。


――空港で働いてる人の負担は軽減される?

そうですね。デジタルに助けられる部分は、お客様だけではなく、係員ももちろんあるかと思います。


――次にどんな進化を目指すの?

具体的に決まっていることではないんですが、まずはより「スムーズさ」「ストレスのなさ」を追求していくことです。イレギュラーの時、遅延や欠航が起きた時に、アプリを使ってより早く保証ができるようにするなど、アプリの中身も充実させていきます。

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

この自動チェックイン機廃止と同時に、ANAは「旅をスマホがおもてなし」と銘打った新たなサービスモデル「ANA Smart Travel」を発表している。これはチェックインはもちろん、旅先選びから、予約・搭乗・機内での過ごし方もサポートしてくれる仕組みだという。

近い将来、スマホ1つで旅行に行くことも夢ではなくなるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。